「あさのまさひこ VS 野口 勉」ギャリアディテール攻防戦
事件は、2008年1月9日(水)、
東京都新宿区の某会議室で起きていた……(笑)。
表題のとおり、「R3ギャリアの
ディテールについて」の打ち合わせを行ったのです。
出席メンバーはいつものとおり、
R3ギャリア班の狩野さん、あさのさん、小林さん、小木戸、野口。
打ち合わせ自体はディテールの件だけではなかったのですが、
このディテールの打ち合わせが、
思った以上に長時間の攻防戦になってしまいました。
R3ギャリアのディテールについては
あさのさんと(主に)野口とでその方向性を確かめ合いながら進行していたのですが、
いざ実際にディテールを入れていく段となると
1本1本の線や1点1点のリベットにとても大きな意味が生じてきてしまい、
お互い「自分の案を譲りたくない」と思う気持ちが強くなってしまったのです。
この話がどんどんややこしくなっていったのは、
フェーズ4(ラピッドプロトタイピング)以降。
フェーズ4段階でも主要な部位にはディテールが入っていたのですが、
あさのさんも野口も「もう少しディテールがほしい」という意見が一致し、
すでに金型製作が進行中であるにも関わらず(!)、
「あと彫りできる凸ディテールと
シボ加工で情報量を増やしていこう」と話になりました。
シボ加工自体は元々入れる想定で仕様をまとめていたこともあり、
スケジュール的にも調整が付くよう手配ができました。
(↑補足:金型チーム、生産チームの協力があってのことです!)
まず件のディテール打ち合わせの事前準備として、
野口自身が想定するディテールとシボ加工の資料を用意。
ギャリアの開発に望む過程の中で、
建機や重機類の資料収集やギャリアの構造部分を検討した資料を元に、
およそ30種のディテール資料を製作していたのです。
線の形状や、厚さ、ボルトの留め方やサイズ、
シボ加工の質感等を実在する建機を想定しながら
プラモデルでまとまりつく表現へとスケールダウンし、寸法を検討した資料です。
前半戦は、その資料を元に、あさのさんに対し
「ここの中にはフレームがあるので、ここにボルトが必要だと思う」
とかそんな説明をしつつ、確認してもらう形で話は進行。
(C)創通・サンライズ
が、ひと通り説明と確認が終わったところで、
あさのさんから「旧1/100キットを
彷彿とさせるディテールも必要だと思う」という意見が……
そこからが、表題の「あさのまさひこ VS 野口 勉の
ギャリアディテール攻防戦」のはじまりです。
あさのさんが「このヒザ横の楕円のところに滑り止め加工がほしい」と言うと、
野口は「でも、そこには人は立ちません」。
あさのさんが「ここにも滑り止め加工を……」と言うと、
野口は「でも、仮にここに滑り止め加工があるとすると、
この部分にも滑り止め加工がないとおかしい。
でもこの部分は成型の抜き形状の関係から再現できないから、
ここにだけ滑り止めが入るのは整合性が崩れて不自然だ」とか……。
R3班の打ち合わせは数時間にわたり、
あさのさんと野口のディテール攻防戦だけがひたすら続いていく。
(その間、狩野さんは楽しそうに笑顔で見守ってくれていたのが印象的。)
小林さんと小木戸は長時間にわたり完全に蚊帳の外。
結局、その会議内では結論は出ず
野口があさのさんの意見を持ち帰り、検討することに。
「旧1/100キットを彷彿させるディテールも必要だ」
というその意味は充分理解できていました。
そして、もう一度冷静になって
「取り入れることをマスト」として改めて考え直し、
できるだけ自然に取り入れられるように検討を進めました。
滑り止め加工プレートの留め方、サイズ等、
考えられるすべてのことを想定し、商品へ落とし込む。
いま思うと、「そうやって納得がいく商品がてきていったんだな」と
なかなか感慨深いです。
野口 勉