Bトレインショーティーでは、これまで首都圏色・JR東海色などのキハ48・キハ40を発売しましたが、これらに続くキハ48・キハ40の新色は新潟色です。
本製品はキハ48とキハ40が1両ずつ入った2両セットで、キハ48は新津運輸区に残るたった1両のキハ48である523号車に塗装された国鉄急行色、キハ40は新潟色(青)での登場です。キハ48-523は主だったリニューアル改造がなされておらず、外見が国鉄時代からあまり変わっていないため人気の高い車両で、国鉄急行色に塗られたその姿はキハ58やキハ65のようで、急行列車の雰囲気を十分に楽しめます。
この国鉄急行色の楽しみかたとしては、キハ48を2両つないでイベント列車に仕立ててみてはどうでしょう。実車の編成はキハ48+キハ47ではありますが、国鉄急行色のキハ48を背中合わせに2両連結して、新潟支社が運転した『国鉄色DC只見自然満喫号』の雰囲気を楽しむのも、Bトレなら「あり」です。
キハ40は新津運輸区の標準的な塗装。国鉄急行色のキハ48とはもちろん、只見線などで見られる新潟色同士の2両編成や、かつて発売した朱色のキハ40をお持ちであれば、それと組み合わせてもよいでしょう。
新津運輸区のキハ40は最短は2両編成、最大は6両編成くらいで運転されます。もちろんカラーも不統一。バラバラに車両を組み合わせて、「不ぞろいな編成美」をお楽しみください。
首都圏色、JR東海色に続いて登場する新潟色。新潟色というからにはもちろん新潟県で見られるカラーですが、このBトレを楽しむにおいて新潟の鉄道事情を知っておくのは重要です。どんな車両と組み合わせて楽しめるのかを知れば、キハ48・キハ40の世界がグッと広がるのです。
▲新津駅に停車中の国鉄急行色のキハ47。新潟の鉄道を知ることでよりディープにキハ40・キハ48のBトレを楽しみましょう!現在はE129系電車の大量投入が進んでいますが、ほんの数年前までは国鉄型電車の楽園で、特急は485系の〈北越〉〈いなほ〉、普通電車は115系が活躍していました。カラーは上沼垂色といわれるブルーを基調にした車両のほか〈ムーンライトえちご〉として国鉄色の485系もやってきました。2015年12月発売の485系国鉄色には〈ムーンライトえちご〉の〈北越〉のシールも入っており、まさにうってつけといえます。
115系は新潟色といわれる塗装のほか国鉄色の車両もありたいへんバラエティに富んでいます。新潟色には緑のラインが入ったもの、ブルーを基調としたもの、現在はなくなりましたが黄色のラインが入ったもの、濃いブルーのラインが入ったものなど何種類もあり、ファンを飽きさせません。現在も2種類の新潟色のほか、国鉄色と長野から来た長野色の車両まで走っています。
気動車は比較的新しいキハE120やキハ110といった車両もありますが、キハ40・47・48系もまだまだ現役で活躍中。このほか、2008年ごろはキハ58の姿も見られました。気動車のグループは2グループに分かれており、キハE120とキハ110は相互に連結して運用、キハ40・47・48系は単独で使われます。
キハ40・47・48系のカラーは首都圏色・新潟色(青)・新潟色(赤)・国鉄急行色の4種類あり、ラッシュ時にはこれらのカラーがランダムにつながって6両編成で走ることもあります。何色の車両がつながってくるか、乗るたびにワクワクしますね。
新潟は首都圏・関西圏と東北を結ぶ重要な幹線の途中にあるため、貨物列車の往来も頻繁です。機関車の主力はEF510形式〈レッドサンダー〉とEF81形式。この2形式にコンテナ車を牽引させるといいでしょう。もしくはDE10形式とコンテナ車を貨物駅に並べ、新潟貨物ターミナル風の風景の脇をキハ40・47が走る情景も作れますね。
このように、新潟を走る車両はバラエティ豊か。しかもBトレでもかなりの種類が発売されていることがお分かりかと思います。中には現在入手困難な車両もありますが、手持ちの車両で「新潟に使えそうだな」というものがあれば、ぜひ組み合わせて世界を広げてみましょう。
キハ40系は古くなったキハ10系気動車の置き換えとして、1979年に登場した車両です。朱色一色のいわゆる「首都圏色」は当時のレイルファンの間で賛否が分かれたり、冷房が普及している時代の新車にもかかわらずローカル用ということで冷房がなかったりと、かならずしも評判のよい車両ではありませんでした。これは当時、国鉄の財務状況がたいへん酷く、新型車両にも徹底したコストダウンが求められていたので仕方のないところでした。
しかし、北海道や東北を走るキハ40系に限っては、他の車両に比べてお金をかけた部分がありました。実は、北国仕様のキハ40系には、当時の国鉄型車両の中でもたいへんお金のかかった台車を履いていました。
この台車はDT44A/TR227Aといい、車体と台車の間に挟むばねが空気ばねになっています。私鉄の車両や国鉄の特急車両では空気ばねの台車は珍しいものではありませんが、国鉄の一般型車両の多くは当時金属ばねが主流で、気動車では急行型のキハ58系はグリーン車ですら金属ばねでした。
さらに、車輪と台車をつなぐ軸ばねと呼ばれる部分も円筒案内式というシステムを採用。このシステムは部品点数が多いというデメリットはありますが、乗り心地は極上。線路の質があまりよくないローカル線でも素晴らしい乗り心地で走れるのです。
本来円筒案内台車はローカル線用の気動車に使うような台車ではありませんが、雪国ではばねの隙間に雪が入り込むとサスペンションが機能しなくなるため、金属のばねではなく空気ばねを採用する必要がありました。また、軸ばねには空気ばねが使えないので金属ばねにゴムの覆いをして雪の侵入をシャットアウトしています。
結果、キハ40系の乗り心地はこと北国では、一般の急行型よりも乗り心地がよいという逆転現象が起こりました。
実は座席の間隔も急行型気動車と同じ1,470mmなので、冷房がないこと以外はかなり乗り得な車両だったのです。
国鉄一般型気動車のうち、キハ58系・キハ65・キハ40系などの正面はとてもよく似ており、鉄道にあまり詳しくない方ならどれも同じに見えると思います。しかしよく見ると、キハ58やキハ65の正面は、3枚のガラスが一直線に並んでいるのに対し、キハ40系は左右の窓がすこし上がっており、貫通扉の窓と高さがあっていません。
これはキハ40系が運転台の高さを上げたためです。
なぜ運転台を高くしたかというと踏切事故対策のためで、運転台が高い位置にあればたとえば自動車が衝突しても乗務員を守ることができます。キハ40の運転台は台枠から530mm、レール面からは1,745mmのところが床面となっています。普通乗用車の車高がおおむね1,400mm程度なので、普通乗用車との接触に関しては乗務員が巻き込まれる危険性がたいへん小さくなっています。また、それよりも車高の高いワゴン車などに対しても、正面には厚さ4.5mmの鋼板を貼って対応。運転台の奥行きも大きく取ってあるので、万が一のときにも乗務員がケガをしにくいようデザインされているのです。
外見から見ればほんの小さな違いですが、そこには大きな意味があるというわけです。
今回はキハ40・48の試作品をご紹介します。今回の製品ではキハ48が国鉄急行色、キハ40が新潟色(青)での登場です。実車ではキハ48の国鉄急行色は523号車ただ1両だけの存在ですが、キハ40の新潟色(青)は磐越西線や只見線でよく見られる車両です。
製品のバリエーションとしては、別パーツで冷房機が取りつけられるようになっており、キハ40の冷房つき/冷房なしをつくりわけることができます。また、台車フレームはキハ48用にDT44、キハ40は暖地向けの2000番台がモデルなのでDT22を用意しています。なお、窓の形は異なりますが、キハ48のDT44をキハ40に取り付け、寒地向けの500番台タイプとして製作してもよいでしょう。
前々回のこのコーナーで解説したように、新潟エリアのキハ40系は現在でも4色のカラーバリエーションがあり、さまざまな色がまぜこぜで連結されています。2両なら同じ色の組み合わせもないではありませんが、3両以上であれば色が揃っていることが珍しく、混色こそが編成美、というわけです。
とりあえず1セット購入し、キハ48とキハ40で2両編成を組んでみてもサマになりますが、本セットを2セット購入すると遊びの幅が広がります。キハ40が2両あれば只見線などで見られる2両編成を組めますし、現実にはキハ48+キハ47の2両編成ですが、キハ48を背中合わせに2両つないでもリバイバル列車の雰囲気を楽しめます。Bトレであればキハ48+キハ48+キハ40の3両編成などもぜんぜん「あり」。レイアウトに配置すればキハ48の国鉄色2連はなかなかの編成美を見せてくれます。これを「実車ではありえない」と切り捨てるのは実にもったいない話。Bトレだからできる夢の編成としてこの組み合わせは強くおすすめします。
また、キハ48+キハ40+キハ40の3両編成も、磐越西線で見られそうな編成です。このように、本製品は2〜3セット購入すると、編成の幅がぐっと広がります。
新潟エリアにはこのほかにも赤い新潟色と首都圏色と呼ばれる朱色のキハ40が使われていますが、朱色のキハ40はすでに製品として発売されていますので、新潟色といっしょにつなげて遊べます。
たとえばキハ48(国鉄色)+キハ40(首都圏色)+キハ40(新潟色)+キハ48(首都圏色)+キハ40(新潟色)なんて5両編成も実に「ありそうな」編成です。短いほうであればキハ48(国鉄急行色)+キハ40(首都圏色)の2両編成もおすすめ。新潟に限らずどこにでもありそうなローカル線の雰囲気を楽しめます。
また、ベストリピートパート2のキハ58国鉄色や、パート5のキハ58新潟色などをお持ちであれば、これらとキハ40新潟色(青)を組み合わせれば、2008〜2009年ごろの米坂線や羽越本線のローカル列車をイメージして楽しめます。
新潟地区のキハ40は編成パターンはさまざま。Nゲージ化して車両をとっかえひっかえつなぎ変えて楽しみましょう。
キハ48・キハ40はいろいろな編成パターンを楽しめる、飽きのこない製品なのです。
キハ40が所属する車両基地は新津運輸区といって、新潟から普通電車でおよそ20分ほどのところにあります。最寄の新津駅は羽越本線・信越本線・磐越西線のジャンクションでさまざまな列車が行きかう鉄道の一大拠点。国鉄時代は新津に住む成人男性の4人に1人が鉄道関係の仕事をしていたというほどの鉄道の町なのです。
そんな鉄道の街を拠点とするキハ40・48系は、さまざまな形式の車両とすれ違います。Bトレインショーティーでもぜひこれらの車両といっしょに走らせて「鉄道の街」のにぎやかさを楽しんでいただければと思います。中には「え? こんな電車といっしょに遊んじゃっていいの!?」なんていう車両もありますから……。
羽越本線は北陸本線とつながり、日本海縦貫線として貨物列車が多数運行されています。もちろん、キハ40・48も貨物列車とすれ違います。
牽引機関車はEF81もしくはEF510。輸送品目から考えるとコンテナ車が似合います。Bトレインショーティーではコキ100系・コキ50000系が発売されていますのでこちらがぴったりです。
長い編成の貨物列車と2〜3両編成のキハ40系との邂逅は、物流の動脈である羽越本線を強くアピールする組み合わせです。
新津のキハ40・48は、新津駅の脇にある新津運輸区をねぐらにしています。営業運転を終えて新津で翌朝の運転までひと休み。
しかし新津駅は夜中も貨物列車や夜行列車が行き交います。かつては豪華寝台特急〈トワイライトエクスプレス〉やブルートレイン〈あけぼの〉、583系の〈きたぐに〉などが走っていました。これらの車両が現役の頃を再現してもいいでしょうし、現在も活躍中の583系秋田車が臨時夜行で舞浜や横浜に向かう想定で競演させてもいいでしょう。
上のジオラマは『山手線ヒストリー』で発売したE235系とキハ40・48を組み合わせています。Bトレインショーティーならではのファンタジー世界にも一瞬見えますが、これは実世界でも十分ありえる光景です。
新津は『鉄道の街』と冒頭で記しましたが、新津には鉄道車両を製造する「新津車両製作所」があり、ここでは山手線や南武線、埼京線などを走る電車を製造しています。
そして工場で完成した電車は工場とJR線をつなぐ線路を通って信越本線に合流し、試運転を経て首都圏へ送られるというわけです。
つまり、キハ40・48は首都圏の通勤電車とすれ違っているというわけです。一見何の関連もない車両が出会うのが新津という街の面白さなのです。
新幹線と在来線は線路の幅が違うため、奥羽本線の大曲〜秋田間のように在来線と新幹線電車の線路が並んでいるようなところでしか、本来出会うことはできません。
しかし、キハ40・48はE3系新幹線電車やE6系新幹線電車とすれ違っている可能性があります。
過去には秋田新幹線のE3系を改造するため工場に送る際やE6系新幹線を車両工場から秋田車両センターへ運ぶ際に、上越線〜信越本線〜羽越本線のルートで輸送されています。
このルートはちょうどキハ40・48の新潟色が走るエリアと重なります。そして上の写真のように日の出ている時間帯に輸送しているので、当然キハ40・48と出会っている、というわけです。
ですから複線のレイアウトを作ってE3系とキハ40・48をすれ違わせてもこれは「ありえる光景」なわけです。E3系の先頭にEF81を置いて、いつもとは違うE3系を仕立てましょう。
このように、キハ40・48新潟色は、新潟エリアの車両だけでなく新幹線や山手線に至るまでさまざまな組み合わせが楽しめます。
手持ちの車両に新潟エリアの車両がなくても、意外な車両が組み合わせられるのが『鉄道の街』新津をねぐらにするキハ40・48の面白さなのです。
新潟のことをもっと知れば、もっとキハ40・48新潟色を楽しめること間違いなしです。
国鉄時代に888両が造られたキハ40系は、分割・民営化後はJR貨物を除くJR旅客会社6社にそれぞれ承継されました。もともとキハ40系はローカル線向けに造られた車両なので、今日は××線、明日は○○線といったいろいろなところを走るような運用ではなく、ずっと特定の路線を行ったり来たりするような運用に組み込まれます。
そしてJR各社は「地域密着」をうたい文句に、これまでの全国一律のサービスから、各営業エリアごとに決めの細かいサービスを提供しようと組織が改革されます。そして手っ取り早く地域密着をアピールする手段として、『脱国鉄』とばかりに車両の色を塗り替えてしまうのです。
その結果、日本全国これでもかとばかりに塗り替えが進み、その数は100種類を超えるバリエーションとなりました。むしろもとの朱色が希少価値となり、〈なつかしのレトロ列車〉といってイベント運行されるほどになってしまいました。
特急や急行で使われた車両が何十年も使われて古くなると、ローカル用に格下げされることは珍しくありませんし、納得のいくところです。キハ40系はもともとローカル用なので、これ以下の格下げはありません。
ところがキハ40の面白いところは「古くなってから特急用に格上げされた車両」がいるところです。こんな「逆タマ」現象はほとんどありえないことですが、もともと頑丈な車両なので、大きな改造にも耐えられるところが買われたのでしょう。
JR九州では〈指宿のたまて箱〉〈或る列車〉といった観光用の特急が走っていますが、これらはキハ40系を改造したもの。車内は元の面影もないほどに改造されています。こんなところもキハ40系の面白いところです。
このほか、JR東日本には新型気動車の投入で余剰となったキハ40系を改造した行楽列車も登場。なかでも五能線を走る〈リゾートしらかみ〉などは外見までもキハ40系の面影もないほどに改造されています。
21世紀になってからは、車体の重さに対してパワー不足だったエンジンも大部分の車両が新しい強力エンジンに取り替えられ、もとより頑丈なボディとあいまってキハ40系はそれなりに走る車両に生まれ変わりました。これからもまだまだ面白い車両が登場する余地は残されているといえるでしょう。
キハ40がデビューしてもうすぐ40年。JRになってからまもなく30年。キハ40系もすでに「ベテラン」の域に入っていますが、2016年現在まだ722両が全国で活躍中。JR東海所属車両は全廃、JR四国も半数が廃車されたものの、JR九州はJR発足以来増減なし、JR東日本でも7割がた現役で使われているなど、使い勝手のよい車両として現在もエンジンを交換するなどして使い続けられています。
もともと新車があまり投入されないローカル線において、キハ40系は「使えるうちは使っておこう」という車両なのでしょう。国鉄型車両で今もっとも楽しめる車両と言っても過言ではありません。
カラフルな地域色、さまざまな改造車。キハ40系はバラエティに富んだ楽しい車両です。旅行してあなただけの「お気に入りのキハ40系」を探してみるのもいいかもしれませんね。