基本塗装はラッカー系塗料を使い、その後にハンブロール社のエナメルシンナーを使って暗部にスミ入れ、そのあと細部はエナメル塗料を使って塗り分けた。スミ入れにハンブロール社のエナメル・シンナーを使うのは、国産のエナメルシンナーに比べより粒子が細かく溶解するように思えるから。しかし、残念ながら国内では大型の模型店くらいしか扱っていないので入手が難しく、その場合はG社のウェザリングカラーとT社のスミ入れ塗料で代用しても良いでしょう。フィギュア自体はとても俳優に似ておりモールドも素晴らしい。しかしこれを塗り分ける老眼の自分には拡大鏡が必須でした(笑)。
なお後部ドアの隔壁は裏側から光らせたいパネルをマスキングしてあったので、ご覧のように裏から光をあてればきれいに光る。もちろん表のデカールもその部分だけ乾燥後に削り取っている。
そんな時にお薦めなのが大日本絵画から発売中の「スター・ウォーズ モデリング アーカイヴⅡ」。この本には、貼る位置のわかり辛いデカールが「撮影用モデルのどこに貼られているか?」が特写のアップ写真で掲載されており、ファルコンの丁寧な製作記事もあるので大いに制作の参考になると思われるからです。
クリアー塗料を乾かしている間に、船体のウェザリングに使う専用の塗料も作ってしまいましょう。このウェザリング塗料はGSIクレオス社のMr.ウェザリングカラーを使います。撮影用モデルのミレニアム・ファルコンにはスミ入れが施されていませんが、全長が約1.7メートルと巨大なため各パネルの隙間には影が落ちリアリティと巨大感が演出されます。このキットの全長も約48センチと巨大ですが、パネルの隙間に影が落ちるほどではないため、リアルに見せるには各隙間にうっすらと影を描いてやる必要があります。またこれとは別に撮影用モデルには意図的に暗色を吹き付けた部分もあるので、この色とは別に、数種類のスミ入れ塗料を作り使い分けた方が良いでしょう。
それではまずパネルラインの隙間に流す明るめの「セピア・グレーブラウン」を作ります。使うのはウェザリングカラーのマルチグレーとグレイッシュブラウンを、6対4の比率で混色して作ります。イメージとしては、2、3日放置してちょっとモデルの上にホコリが溜まった状態か?この配合でいったん基本色に塗装して拭き取った際に、あきらかにクッキリと筋状に色が残るような濃い色でしたらウエザリングカラーの「マルチホワイト」を加えて明るさを調整します。理想はよく見るとうっすらと色が残っている感じです。
色が出来たらいきなり塗らずに、必ず基本色に試し塗りをしてファルコン全体に塗った場合のイメージを考え、最終的な色を決定します。また、ウェザリングカラーを施すと、基本色にフィルター効果が加わり、基本色に黄色味が加わりますので、その辺も考慮してウエザリング色を決めてください。私が塗装する場合でも3、4回は色調整をしますので、その回数くらいの色調整は必要かと思います。汚し塗装はあとから濃くする事はできますが、薄くはならないので、その辺も注意して調色してください。ちょっと薄いかなぁ?くらいがちょうど良いと思います。
汚し塗装の方法はモデラー各自で千差万別、コレが正しいといった方法はありません。参考になるのはやはり飛行機モデルの汚し方が一番近いと思い、さらに戦車モデルの汚し方も参考になるので、関係書籍(今この手のハウトゥー本は大量に出ているので困らないと思います)を一度読んでみるのも良いかもしれません。
僕の汚し塗装の方法は、仕事上で完成品見本を大量に作ってきた中から生まれてきた方法で(ちなみにこの1/72ファルコンは6機目の完成品)、どちらかというと時間優先で行う方法です。それゆえ趣味で製作し時間を掛け塗装する方法ではありませんので、どこまで参考になるかわかりませんが、少しでも参考になる部分があれば幸いです。
完成した汚し塗料を皿に取り、それのふき取り用にウェザリングカラー専用のうすめ液も別々にひとつづつ、計2皿用意します。まずは塗料を幅の広い太筆で船体に点々と置いていき、次に一つ目のうすめ液でそれを伸ばすイメージで均等に細部まで塗料を伸ばします。ここでいったん筆をうすめ液に漬け綺麗にし、二つ目の奇麗なうすめ液につけ、いま塗った塗料をふき取るイメージで、汚し塗料をどんどん薄めていきます。