塗装に入る前に、エッチングパーツにメタルプライマーを塗りましょう。面相筆等ではなく、普通の安い筆で十分なのでペタペタと塗っていきます。溶剤が透明で見づらいですが、あまり厚く塗るとネットの隙間が埋まってしまうので注意して下さい。六か所の排気口が塗れたら、搭乗ボックス上面の左右に取り付けたエッチングパーツにも塗っておきます。
筒状のコクピット部側面に付くエッチングは切り取らず、余白に付いたまま塗装し、組み立ての最後に取り付けます。その上にある「ファルコン」のロゴが入ったエッチングも、余白に見えますが実は展示プレート等に使えますので、皆さん工夫してカッコ良い展示にお使い下さい。
キットの製作中には手汗や油など余計な物が表面に付着してしまいます。本来なら中性洗剤を掛けて本体を洗いたいところなのですが、ファルコンの大きさと接着した大量の細部パーツの破損を考慮してその洗浄方法はやめて、燃料用のアルコールで表面をきれいにします。やり方は不要になったTシャツ等の布にアルコールを浸み込ませ表面を拭いていくだけです。アルコールはすぐに蒸発してしまうので、あとから拭き取る必要はなく、とっても簡単です。しかしあくまでも燃料用のアルコールなので、くれぐれも換気を十分に行い、火には十分にご注意下さい。
次に、各社から発売されている「静電気除去ブラシ」を使って、さらに細かい埃を除去します。この作業は塗装を急ぐあまり忘れやすいのですが、その差は歴然なのでお勧めです。こうして表面がきれいになったらSGIクレオス社の「Mr.フィニッシング サーフェイサー1500 ブラックタイプ」の缶スプレーを吹き付けます。これはサーフェイサーに限った事ではありませんが、各社から発売されている缶スプレーはノズル形状や塗料の濃度が若干違っており、使い勝手がメーカーによって違っています。そのため必ず不要なプラバン等で、試し吹きを行って下さい。写真は下面の船体。
続いて船体上面にもサーフェイサーを吹きます。今回使用したクレオス社のサーフェイサーは厚く吹いても塗料が垂れなく(ホワイトは垂れやすいので注意)、初心者にも扱いやすいと思います。具体的に吹き付けた状態ですが、最初表面はザラザラしてますが、吹き続けるとツヤが出てテカテカになります。そのテカテカになる直前(塗料が垂れる直前)を見極めて、終了します。塗料の粒子は吹きつけ後に周りに少し広がりますので、テカテカにすると吹き過ぎで塗料が垂れてきます。その垂れる直前を見極めて止めるのがコツですね。
上下2か所にある銃座と各フィギュアにはグレーのサーフェイサーを吹きつけます。これは船体のように遮光の必要性がなく、肌や服装で明るい色調の塗料を使うため、下地のサーフェイサーも明るい色を使いました。また、私の場合、塗装を施す際にはご覧のように大きなパーツは「割りばし」に、小さなパーツは「爪楊枝」に瞬間接着剤で固定しております。これだと塗装中にパーツが外れる事がなく、あらゆる角度から塗装できます。塗装後には、瞬間接着剤を削り取るのに多少の手間は掛かりますが、見えない部分を接着し固定していますので、大概のパーツは「割りばし」をはずし瞬間接着剤が残ったまま組み立ててしまいます。
ミレニアム・ファルコンの塗装の考察と塗り分けラインに関して。
さてここからミレニアム・ファルコン本体の塗装になるのですが、実はこれが最もこのモデルの難解な部分です。撮影用モデルはすでに完成してから40年が経過しており、当時の色調が保たれているとは考え難い状態です。また「帝国の逆襲」撮影時に、部分的な改修を行われているため、その時に一部塗り直されている部分もあります。当時の記録写真も野外の明るい場所で撮った物でない限り、照明によりいくらでも機体色は変化してしまいます。また私自身も近年見てきた場合も、すべて暗めの照明の下ばかりでしたので、正確な色は判断しにくいのが現状です。またパネルラインの塗り分けも、それが塗り分けラインなのか?単なる汚し塗装のオイル漏れや錆びの流れたラインやパネルなのか?その判断も、よほど鮮明に取られたアップ写真でないと正確に判断できません。以前制作したサンプルも塗装する上では、なるべく多くの写真を集めて検証したのですが、やはり写真でも照明により色味もバラバラで掲示した物が100パーセント正確か?と問われると、確証がないと言うのが本音です。という訳で、当時の正確な色調を求める事はたぶん不可能に近いのではないかと考え、ここは各自が持つイメージで塗って頂くのが一番早い「完成への近道」と考えております。まずは造形して楽しむことが一番ですからねぇ。
それゆえ今回の色指定はあくまでも「高橋が再現した場合のミレニアム・ファルコン」と考えて頂き、あとは各自のイメージに色調をアレンジして頂ければ良いかと思います。一応、私も映画の公開当時デパートで開かれた展示会を見に行き、白色だと思っていたファルコンがとても黄色味のある、どちらかというとアイボリー色に近かくビックリした(XやYウイングよりも黄色味が強かった)事を鮮明に覚えております。また機体の表面も塗料の粒がそのまま付いているようなガサガサで完全なつや消し状態でした。当時すでに模型を作っていたので「撮影用モデルって雑な作りだなぁ・・」と感じたものでした。