パーツとパーツをつなぐプラモデルのように、プラモデルとファンの皆さん、プラモデルと世界(=プラネット)をつなぐアイドルとして、多方面で活躍中のLINKL PLANET(リンクルプラネット。以下、リンプラ)。
そんなリンプラと、その活動方針に共感したロックバンド・かりゆし58のギタリスト、新屋行裕氏によるコラボレーションが決定! “ものづくりと人のつながり”をテーマとした新屋氏プロデュースの新楽曲「僕と君が誰かの生まれ変わりだとしても」が、2024年7月21日(日)より、各種音楽サービスで配信されることなった。
これを記念して、じつは大のガンプラファンでもある新屋氏とリンプラのメンバー・荒井芽依さん、天川れみさんによる対談形式のインタビューを実施。制作時の裏話から曲に込めた想い、さらにはガンプラに関する思い出まで、さまざまなエピソードを話してもらった。
――このたびの楽曲提供ですが、どういった経緯で実現することになったのでしょう?
新屋
「こういった企画があるんですけど、いかがでしょう?」というお話をいただきまして。僕自身、もともとガンダムやプラモデルが大好きだったし、アニソン(アニメソング)やアイドルの楽曲にも興味があったので、新しい挑戦といいますか。ここで得た経験は今後の活動においてもきっとプラスになると思い、二つ返事で引き受けさせていただきました。
――LINKL PLANET(リンクルプラネット。以下、リンプラ)については、活動内容も含め、どういった印象を持たれましたか?
新屋
おもしろい活動をされているアイドルグループだなと思いました。「Te to Te」のミュージックビデオを観させていただいたんですけど、“人と人の繋がり”の表現がすごくよくて。プラモデルと地域貢献って、こんなふうに結びつけられるんだと思いましたし、その見せ方も凝っていて、そうした活動も含め、今後の展開がとても気になるグループですね。
天川
「Te to Te」のMVは、静岡県にあるバンダイホビーセンターにお邪魔して。プラモデルメーカーの方や、地元の皆さんに協力していただいて撮影したものなんですけど、まさにプラモデルを通して、大勢の方と繋がれたからこそ作り上げることができた映像なので、そこに注目していただけてすごくうれしいです!
新屋
かりゆし58にも「手と手」という曲があるので、気になって聴いてみたらすごくいい曲でした。こういったところにも縁といいますか、不思議な繋がりを感じますね。
――今回だけといわず、もしかしたら今後も楽曲提供などでコラボの可能性も?
新屋
自分たちの考えた言葉や曲を、ほかのアーティストに歌ってもらって世の中に発信する……というのは、すごく貴重な経験でしたし、もっといろんなアプローチができると思うので、前向きに検討させていただきたいです。
――続いて、新楽曲「僕と君が誰かの生まれ変わりだとしても」についてお聞きします。こちらの曲に込められたテーマ、コンセプトを教えていただけますか?
新屋
まず最初に「人と人の繋がり」や「モノづくりで人を繋ぐ」という、大まかなテーマを打ち出して。それに沿って細部を作り込んでいったり、プラモデルにかけたフレーズを入れるなど、いろいろ試させていただきました。でも、リンプラさんの曲を聴かせてもらうと、すでにいい感じにプラモデルの要素を取り入れた曲がいっぱいあって。中途半端な知識量では、とても太刀打ちできないな……と思い知りました。
――たしかに、プラモデル好きの人が聴いても響く曲に仕上げるには、相当な知識が必要になりそうですね。
新屋
そこで発想の転換といいますか、無理にプラモ要素を入れるのではなく、かりゆし58として大事にしてきた“人との繋がり”に対する思いを込めたらいいんじゃないか?と考えるようになって。試行錯誤の末、こちらの形に落ち着いた次第です。
――歌詞には新屋さんご自身の“人との繋がり”に対する見解や、過去の体験などが反映されているのでしょうか?
新屋
過去の出来事ではなく、いま、周りにいる身近な人たちや、目の前で曲を聴いてくれるお客さんを意識して、その感情を曲に落とし込みました。かりゆし58はそうした“目の前にいる人に思いを届ける”という姿勢を大事にしてきたバンドなので、そこはブレなかったですね。それと、メンバーに意見を聞いてしまうと、あれも取り入れたい、これも取り入れたい……となり、盛り込むエッセンスがどんどん増えていってしまうので、今回は最初から最後まで、自分一人に任せてもらう形で制作にあたりました。
――そうして完成した曲は、リンプラとしては珍しいバラードになりますが、実際に歌われるお二人にとっても、これまでの楽曲との違いを感じる部分や、刺さるポイントはありましたか?
荒井
これまでの私たちの曲とはぜんぜん雰囲気が違いますが、じつは歌詞の中にはガンダム要素が仕掛けられていて。そういったところもうれしいですね。私も最初は聞き逃してしまったんですけど、レコーディングのときに仕掛けについて教えていただいて。「なるほど、確かに!」となりました。
天川
どの部分のことかは、実際に聴いていただいて、確認してもらえるとうれしいです!
荒井
曲そのものは、これまでの“アイドル全開”なものと違って、母性といいますか、優しく包み込むような温かい雰囲気に仕上がっているので、疲れたときや癒しがほしいときに聴いていただくと、すごく染みると思います。
天川
曲のテーマが「人と人の繋がり」ということで、歌詞だけでなくメロディからもそれが感じられるといいますか。応援してくださるファンの皆さんがいて、その方たちに支えてもらって、いまのリンプラがあるんだ……ということを、私たち自身も再認識することができた印象深い1曲です。それともう1点、個人的な感想ですが、歌詞からは「何気ない日常を送れることの幸せ」も感じられて。上京したてのタイミングで聴いたから……というのもあるんですけど、地元で家族や友だちに囲まれて過ごした“当たり前の日常”は、じつはすごく幸せな日々だったんだということを気づかせてくれた曲でもあるので、これからも大事に歌っていきたいです。
新屋
リンプラさんには可愛くて、元気があって、かっこいい曲がたくさんあるので、その中でどういったアプローチをすれば、独自性を出しながらも溶け込める曲に仕上げられるか?そこが曲づくりにおいて、もっとも頭を抱えるポイントでした。メンバーの皆さんにとっても、慣れない難しいテーマの曲だったと思いますが、レコーディングでは一生懸命頑張ってくれて。当日までにすごく練習してきてくれたことはすぐにわかったし、テイクを重ねるごとにどんどん上手くなっていくさまも間近で見られて、僕個人としても非常に有意義な時間を過ごさせていただきました。ライブでもいっぱい歌っていただけるとうれしいです。
――ちなみに本日は、新屋さんお手製のガンプラもお持ちいただきましたが、こちらの作品のコンセプトを教えていただけますか?
新屋
「HYPER PLAMO Fes.2024(ハイパープラモフェス2024)」というイベントに参加させてもらった際、出演アーティストがガンプラを各々のアイデアでデザインして。それを展示するコーナーがあったんです。そこでザクIIを用意してもらったのですが、僕は沖縄県出身ということもあり、沖縄の青い空と海、そして白い波を表現したいな……と思いまして。こちらのカラーリングで仕上げて、展示してもらいました。
――今日の衣装とも色味が合っていますね。
新屋
ガンプラに合わせて調整してきました(笑)。
――こちらのザクII以外にも、ガンプラを製作されたことはありますか?
新屋
小学生のころはよく作っていましたね。うちは4人兄妹なんですけど、祖母がおもちゃ屋さんに連れて行ってくれて、それぞれに一つずつ、好きなプラモデルを買ってくれるんですよ。当時はまだ、リアルなタイプのガンプラは難しかったので、SDガンダムのシリーズを買ってもらっていました。そこからだんだん、難しめのガンプラ製作にも挑戦するようになったのですが、中学に上がってからは触れる機会が減ってしまって……。しばらく疎遠になってしまっていたんですけど、最近また、作るようになりました。この前、ガンダム・エアリアルを作ったんですけど、いまのガンプラはクオリティがすごいですね。「こんなに進化しているんだ!」と驚かされました。
――ガンプラ製作を通して、人との繋がりができた……みたいなエピソードはあったりしますか?
新屋
それこそ小学生のころは、ガンプラ好きの友達同士で集まって、いっしょにガンプラを作ったり、ガンダムシリーズのアニメを観たりしていました。しばらく連絡を取っていなかったので、これをきっかけにまた会いたいですね。「いまもガンプラ作ってる?」とか、いろいろ話したいです。
――天川さんと荒井さんも、プラモデル製作を通して“人との繋がり”を感じた出来事はありますか?
天川
学校にガンプラを持っていって。休み時間に作ったりしていたんですけど、そのとき、あまり話したことのないクラスメイトの女の子が「プラモデル好きなの?」と話しかけてきてくれて。「作ったことはないんだけど、いつかやってみたいんだよね」みたいな話をして、盛り上がったことがあるんです。そこにプラモデルがなかったら、その子とはほとんど話さないまま学校を卒業していたと思うので、あのときは“プラモデルが繋げてくれる縁”を感じました。
荒井
私はプラモデル製作がきっかけで、舞台関係の方たちと知り合う機会がありまして。そこから話が進んでいって、舞台に出演させてもらえることになったので、質問の回答としてはちょっとずれてしまいますが、好きなことはどんどん公言していくべきだなと、そのとき改めて感じました。それと、こうした“新しい繋がり”を作るだけでなく、プラモデル製作には“それまでの繋がり”を継続させる効果もあると思うんです。学生時代の友達とは今でも、プラモデルの話で盛り上がったりしてずっと繋がっているので、そういった意味でも、プラモデルはコミュニケーションのツールとして本当に偉大な存在だなと思っています。
プラモデルがきっかけでつながった縁により、コラボレーション~リリースが決定した、リンプラ最新曲「僕と君が誰かの生まれ変わりだとしても」。
曲調はバラードで、従来の楽曲とは異なる趣ではあるものの、リンプラならではの“ものづくりと人のつながり”を大切にする想いはしっかり反映された1曲になっているので、こちらの記事で興味を持たれた方は、ぜひ一度、視聴されることをオススメしたい。
そうしてこの曲が、新たな縁につながりますように――