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連載第3回:ドキュメンタリー'ゼータガンダム Ver.Ka' VOL.1

連載 第3回

MG Ver.Ka20周年の新たなる挑戦として誕生した「MG 1/100 ゼータガンダムVer.Ka」。第3回ではテストショットを撮り下ろし。さらに開発者コメントを交えながら、いかにして本キットが形作られたのかに迫っていく。

MESSAGE:
BANDAI SPIRITS
ホビーディビジョン開発担当

まずはカトキハジメ氏と「アニメ版意識のゼータガンダムで行こう」という話になりました。
すでに過去のMG Ver.1.0がカトキさんアレンジ寄りでしたし、いま改めて当初のアニメ設定画を見直すと、当時の技術的な都合で立体化出来なかった部分が多々あることに気づきます。
ただその立体制約の中でゼータプラス、という合理的かつ最適解的な変形をするゼータ派生機が生まれました。あの変形やプロポーションは本当に素晴らしく、現代までのゼータ立体物に大きな影響を与えています。これは間違いなく、ゼータのひとつの正解です。
ですが今、最新のガンプラ技術を武器にして再度原点のゼータに立ち向かったら、また新しい何かが生まれるかもしれない。ゼータの姿には決められた正解がないからこそ面白いと、カトキ氏のインタビューにもあります。そんな挑戦の思いをこめて、「20周年での新たなる挑戦」としました。
本商品は最近のガンプラトレンドのような頭が小さくて、ハイディテールでスタイリッシュ……そのような造形とは少し毛色を変えています。最新フォーマットで遊びやすくて最高にカッコいい、けれどどこか懐かしいあの頃憧れたゼータ。そんな商品になればと思っています。

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka 正面

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka 背面

フロントビュー:

アニメスタイルを尊重した造形に、RGやMG Ver.2.0のゼータガンダムを見慣れた世代は、むしろ違和感を感じるかも知れない。これまでのゼータ系キットは水平気味の胸部だったが、MG Ver.Kaではよりアニメ設定画のデザインに近い、下方向へ倒れたフォルムになっている。脚部のラインも、丸みのあるMG Ver.1.0やゼータプラスとは異なる〈鋭利さ〉を感じさせる。

リアビュー:

可変MSとなる本機の専用装備フライング・アーマーとロングテール・スタビライザー。ゼータガンダム歴代キットと比べてエッジの立った造形で、メカデザインを手がけた藤田一己氏のシャープな描線が再現されている。エクストラフィニッシュのパーツも含め、各部にある黄色やグレーのディテールも別パーツ化されており、成型色で再現されている。
※画像は開発中の試作品です。

ウェイブ・ライダー形態

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka Ver.Ka ウェイブ・ライダー

フロントビュー:
設定画稿に近いアングルで撮影すると、その再現度の高さがわかる。脚部は2段階で折り畳まれることでコンパクトになり、フライング・アーマーは形状を大きく変えることなく翼面積が拡張されている。変形後は各部のロック機構で固定され、飛行機モデルのようにディスプレイが楽しめる。

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka ウェイブ・ライダー 側面

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka ウェイブ・ライダー 背面

サイドビュー:
サイドビューはクサビ形のシルエットを形成。腕部をフライング・アーマーに逃がすことで上下の厚みが抑えられている。ランディング・ギアはフライング・アーマー、シールド、股間の4ヵ所から展開。

リアビュー:
人型のシルエットが消えて、戦闘機のフォルムへと変形。機首(シールド)からフライング・アーマー、小翼へと流れるラインが美しい。靴裏のディテールも、別パーツ化により成型色で再現されている。

ウェイブ・ライダー アニメ設定画稿

ウェイブ・ライダー アニメ設定画稿

無数に存在する
デザインと変形の〈解〉

CONCEPT

POINT.01
アニメオリジナルの追求

POINT.02
“可動”と“固定”が紡ぐガンプラ史上最高峰の変形

POINT.03
Ver.Ka20周年 ギミックとメカ表現の進化

今回のコンセプトのひとつに「アニメオリジナルの追求」が掲げられている。カトキ氏によるカラーの開発画稿を確認すると、アニメ設定画から多くのニュアンスが拾われデザインに反映されているのがわかるだろう。また、MG Ver.Kaでの開発ではミーティングだけでなく、資料を使ってカトキ氏とスタッフとの間で何度もやりとりが行われる。ここでは開発初期にやりとりされた開発準備稿の一部を紹介しよう。

カトキ氏によるカラーイラスト

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka ポイント

三角のプレート
左右インテーク下にある三角のプレートについて、単純なヒンジだとウェイブ・ライダー形態時に突出量が少ないので、せり出すギミックが提案されている。

脚部(1)
ヒザアーマーと脚部内側の側面形状について、テーパーの強さを出す(先細りになる)メモが書かれている。

脚部(2)
ヒザアーマー周囲の青い部分はこれまで並行している解釈だったが、今回はテーパーを付ける指示がされている。

シールド
シールドの輪郭を決めるのはフライング・アーマーとのすりあわせになるため、早めにシールドの輪郭がMAXでどれくらいになるかを一度出してもらい、様子を見たいとオファーが出されていた。

フロントアーマー
フロントアーマー下面の形状について、こちらもテーパーを設ける指示が書き込まれている。

かかと
かかとの赤い部分について、厚さを抑えたいと指示が書き込まれている。

開発準備稿

頭部:
頭部について、前後に伸ばすアレンジを今回はやめてアニメのデザインに合わせている。カメラアイ周囲の隈取りについても、これまでの解釈をやめて、広くとっている。頭頂部センサー、眉間パーツの形状についても細かい指示が書き込まれている。

前腕部/腕関節:
MG Ver.1.0やPGでは前腕の内側がシリンダー構造になっていたが、アニメのデザインに合わせるならパイプが正しい。Ver.2.0やRGではパイプの造形になっており、MG Ver.Kaではより設定に合わせた表現が提案されている。ヒジ関節についてはもう1軸追加したいと提案。形状は設定では丸みのあるデザインで、MGでは再現されてこなかったためMG Ver.Kaで初めて再現したいと書かれている。

開発準備稿

試作原型

試作原型:
試作原型に対してのカトキ氏による監修。頭部を96%縮小し、V字アンテナを2mm長くする指示が。胸部についてはまっすぐな面にし、胸板の厚みを抑える。インテーク下の三角のプレートは下へ向ける指示が書かれている。前腕部については4mm縮める指示。脚部については、スネのラインの折れ、スネアーマーの伸張、スラスター部の角度など細かい指示がされている。


※掲載している開発画稿は準備稿です。実際の商品とは異なります。


「MG 1/100 ゼータガンダム Ver.Ka」
特設ページはこちら

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka

MG Ver.Ka特集記事を
月刊ホビージャパンにて
連載中

「DOCUMENTARY“Ver.Ka”」
第1回、第2回記事はこちら

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka