RGシリーズ新作の量産型ザクを使って、今回はウェザリング技術を用いて一歩踏み込んだ汚し塗装に挑戦していきたいと思います。
ウェザリングの技法は様々なものがありますので、作品の方向性によりお好みで選択していただければと思います。

まずはキットの仮組を済ませます。

パーツの配置をここで確認し、予めウェザリング箇所を検討しておくとよいでしょう。

表面処理をし、サーフェイサー吹きをして塗装前の段階に入ります。
※サーフェイサーはラッカー系塗料です。ABS樹脂が割れる場合がありますので注意してください。

剥がれやダメージ表現のした準備として、今回は下地に2層の色を重ねてエアブラシ塗装しておきます。
まずは金属色でスーパーファインシルバーを塗装します。
次に錆止め塗料のイメージで艦底色を塗装します。左側のパーツのように、予め剥がれ表現の箇所を決めてエッジのみ塗装してもよいでしょう。

基本色として今回は4色を用意しました。園芸用ラベルをテストピースにして色味をチェックしておきます。

使用する色を決め、塗装をしていきます。
【使用カラー】GSIクレオス Mr.カラーを使用
本体色1MSグリーン1 95% + ルマングリーン 5%
本体色2MSグリーン1 80% + MSホワイト 20%
本体色3MSグリーン2 90% + モウリーグリーン 10%
本体色4本体色3 80% + 本体色1 20%
フレーム(※)ニュートラルグレー 80% + ブラック 20%
足首ソール・胸部等ブラック 75% + ニュートラルグレー 25%
マシンガン・バズーカ銃身等ミッドナイトブルー90% + ホワイト 10%
ランドセルミディアムブルー 75% + ブラック 20% + レッド 5%
バーニアスーパーファインシルバー
※関節等のABS樹脂パーツは塗料をつけると割れるおそれがあります。ご注意ください。

エアブラシ塗装が終了した状態です。塗り忘れ等がないか、ここでチェックしておきましょう。

次にデカールを貼っていきます。デカールは「ガンダムデカール RGシャア専用ザク用」を使用しました。
ウェザリングを行う前に、一度つや消しトップコートを吹いてデカールを保護しておくとよいでしょう。

ここからウェザリング塗装に入っていきます。

最初に水性塗料でのウォッシングをご紹介します。
ミリタリーモデルでよく使用される手法で、希釈・拭き取りには燃料用アルコールを使用しました。消毒用アルコールでも代用できます。
塗料は水性ホビーカラーのガルグレー・グレーを使用します。
【塗料1:アルコール10】の比率で希釈します。調色スプーンでしっかり攪拌(かくはん)して混ぜましょう。

調色した塗料を筆で、ムラにならないよう薄く全体に塗っていきます。
揮発性が高いので、塗料が乾く前にアルコールをつけた筆で拭き取っていきます。
左が水性塗料でのウォッシングをした状態です。ウェザリングの程度によって、塗料を残す加減を調節するとよいでしょう。

同様に他のパーツもウォッシングしていきます。墨入れ効果もあるのがスジ彫り部分を見ると確認できます。

次にエナメル塗料でのウォッシングを紹介します。塗料はエナメルのジャーマングレーを使用します。
ジャーマングレーを【塗料1:溶剤3】の比率で薄めて使用します。

塗料をパーツ全体に塗っていきます。塗料をつけすぎるとパーツの隙間に塗料が入り込み、割れの原因になりますので慎重に塗っていきましょう。
綿棒・ティッシュなどで塗料を拭き取っていきます。拭き取りにくい場合はエナメル溶剤をつけて拭き取りましょう。
拭き取りの方向は重力や動きの方向を考えて拭き取っていきます。

シールドも同様にウォッシングをしていきます。拭き取りは上下方向に行いました。

同様に他のパーツもウォッシングを行います。細かいパーツは予め分解した状態で塗るとよいでしょう。

今度は、Mr.シリコンバリアーを使った塗装の剥がれ表現です。
本来は複製の際離型剤として使用するものですが、剥がれ表現に使うこともできます。

下地にシルバーで塗装したパーツを用意し、シリコンバリアーを全体に塗っていきます。
シリコンバリアー乾燥後に表面の塗装を行い、乾燥後剥がす作業を行います。
主に装甲の角・境目を中心に、デザインナイフ・カッターを当て少しずつ表面の塗装を剥がしていきます。

つまようじを使用して細かい箇所の剥がれを表現することもできます。
剥がれ表現を行った状態です。力を入れなくても剥がれるので、慎重に全体を見ながら作業していきましょう。

次はデザインナイフでのダメージ表現です。
塗装時にシルバー・艦底色で2層の下地を作っておいたので、実際に表面の塗装を削って落とし、下地を露出させることで塗装の剥がれを
表現していきます。 デザインナイフやカッターの刃を面と垂直方向に当て、軽く横に削る感覚で表面の塗装を落とします。
最初から一度に大きく剥がそうとせず、細かい剥がれを作っていくとバランスも良くなります。

今度はリューターを使ってダメージ表現をすることもできます。
リューターには様々なビットがありますので、削る箇所・表現に応じて選んでいきます。弾痕やシールド端の損傷等、何によるダメージかを
考えながら削っていきましょう。リューターで削った後に、グレーで塗装した状態です。弾痕・擦れ表現に使用するとよいでしょう。

エナメル塗料を使ってのチッピングも行っていきます。外装の干渉する箇所での細かい擦れ・剥がれを筆で表現していきます。
今回はエナメルのジャーマングレーとライトシーグレーを使用しました。
塗料をのせたときに、筆のかたちが残らないよう細かく塗っていきましょう。装甲の細かい剥がれを表現できます。

今回紹介したウェザリングの技法を全体に施しました。

最後につや消しクリアーを吹き、塗膜を保護しておきます。
クリアーレッド+蛍光ピンク(極少量)で塗装したモノアイをつけていよいよ完成です!

RG量産型ザクの良さを活かし、ウェザリング塗装で重厚な雰囲気の作品に仕上がりました。
各部の詳細画像です。ウェザリング塗装の参考にしてみてください。
ノーマルタイプのアンテナを使い、指揮官機にも換装可能です。
付属の武器持ち手により、しっかりとマシンガンを持つことができます。
MSスタンドを使用すれば、RGの可動範囲を活かし様々なポーズをとることもできます。
※アクションベース3は別売りです。
マシンガン同様、バズーカもしっかりホールドできます。両手で構え、迫力ある発射状態をとることもできます。
ヒートホーク・平手も付属するので様々なポージングが楽しめます。
バズーカを腰のラックに、ヒートホークもホルダーを使用し腰に付けフル装備の状態です。

RG量産型ザクを使用し今回はウェザリング塗装での仕上げをご紹介しました。
特別な機材がなくてもできるものがありますので、初めての方も気軽に挑戦してみてはいかがでしょうか。ウェザリング塗装には様々な技法がありますので、お好みに応じて選択していただければと思います。実際の車両・重機・航空機などを参考に、動くザクをイメージしながらウェザリングをすれば楽しく塗装できるかと思います。イメージとして、実際に人の手によって動かされる機体を思い描きながら、使い込まれた雰囲気を出していくとよいでしょう。
RG量産型ザクを使用し、ガルマ専用ザク・オリジナルスプリッター塗装・ウェザリング塗装と3機のザクを異なるアプローチで製作してみました。
キット組立て、塗装、そして完成後も楽しめる内容のRG量産型ザクとなっております。皆さまも是非自分好みのザクをこのキットで製作し、楽しんでいただければと思います。
※アドヴァンスドMSジョイントを含むABS樹脂への塗装は、破損する恐れがありますので、ご注意ください。
▼この作例には以下のキットを使用しています

RG 1/144 量産型ザク