地球製
ガンダリウム合金の精製
〈本物〉への探求の第一歩として、我々はまず〈ガンダリウム合金〉の定義を検証することにした。作品の設定上は、諸説あるが、この合金は当初の名に〈ルナ〉が入っていたことから月(ルナ)で採掘された、高純度のチタンを用いたチタン合金とされている。その素材を低重力下である月面で還元精錬することでガンダリウム合金が完成する。
そのような特殊環境下で精製されたと考えられるガンダリウム合金を地球上で再現できるのか?素材を精製している高純度チタンとイットリウムは地球上でも入手可能だ。しかし精製必須条件である月面同様の低重力下での溶解・鋳造を地球上で再現することが不可能であった。
- 実際のガンダリウム合金の製造工程は
明らかにされていないが以下と考えられる。 - 1)月の鉱物から高純度のチタンを得る。
- 2)ルナツーの鉱物から希土類金属である〈イットリウム〉を得る。
- 3)高純度チタンをさらに超高純度化し強度を高めるため、月の低重力下(地球の1/6)で電磁浮遊溶解させながら希土類金属の〈イットリウム〉を添加し還元精錬する。
- 4)その際に副次的に発生するナノサイズの酸化イットリウム(※イットリアともいう)が、酸化物分散強化(ODS)を発現し、さらに強度を高めることとなる。
- 5)低重力下ではチタンと酸化イットリウムは比重分離せず均一に分散した状態を保てる。その状態で鋳造・凝固させることで均質な超高強度装甲材料が得られる。
- ※イットリア:希土類元素に分類されるイットリウムの酸化物であり、希少性が高い原料である。チタンに添加することで金属組織の異常粒成長を抑え高強度化の効果が期待できるとされる。