エアブラシで塗装する

協力:電撃ホビーマガジン編集部

エアブラシ塗装は、専用の道具を使って行う。塗料を霧状にして吹き付けることで美しい塗装面にできるだけでなく、グラデーション塗装と呼ばれる陰影を表現することも可能だ。今回は、そのエアブラシ塗装の手順を紹介しよう。
エアブラシ塗装は筆塗りとは異なり、部分的な塗装が難しい。そこで作業を行う前に、塗装したくないところを「マスキングテープ」で覆って保護しておく必要がある。


マスキングテープを切り出す
「マスキングテープ」は、微妙な曲面などにも貼りやすい紙製のテープ。粘着力が弱く、貼った後も剥がしやすい。まずはゴミやホコリがないところにテープを貼り、適度な長さでカットしておこう。

端を切り落とす
マスキングテープの端には、ゴミやホコリが付着していることがある。こうしたゴミが塗装面に残らないようにマスキングテープの端をカットしておく。

パーツに合わせて細かくカットする
次に、保護したい部分に合わせてマスキングテープをカットする。複数枚を重ねて貼るので、大きさは適当に。ここではベアッガイのモノアイレールに貼るため、細いものをたくさん作っている。

保護する部分に貼っていく
切り出したマスキングテープを保護するところに貼っていく。ホコリが付かないようにピンセットなど(写真はデザインナイフの刃先)でテープを取り扱うこと。

テープをしっかり押し付ける
パーツとマスキングテープの間にスキ間があると、そこから塗料が流れ込んでしまうことがある。テープを貼ったら、上から押してしっかりと貼っておく。

マスキングしたパーツ
マスキングテープを貼ったパーツ。モノアイレールに沿って、スキ間なくしっかりと重なり合って貼られていることがわかる。貼り漏れがないように注意しよう。

パーツのマスキングが終わったら、いよいよエアブラシ塗装となる。
まずは、色を作ってから、ハンドピースで塗装を行う。ハンドピースの掃除の方法もきちんと覚えておこう。


塗料皿に色を取る
エアブラシ塗装の利点は、自分の好きな色を作って塗装できることだ。まずは混色する塗料を少量ずつ塗料皿に出し、色味を見てみよう。

混ぜる塗料を追加する
塗料皿に出した塗料をよく混ぜ、色味を確認。自分好みの色になるまで塗料を少量ずつ混ぜて、色味を調整しよう。

塗装する量の塗料を作る
調合した色は液体の状態と塗って乾いた状態で色調が変化することが多い。試し吹きが終わるまで判断は保留しておこう。

塗料の濃度を調整する
エアブラシ塗装で使用する塗料は、そのままの濃度ではハンドピース内部で詰まってしまう。そのため、塗料と溶剤を1:1程度で混ぜる。

試し吹きをする
混色、濃度を調整した塗料をカップに移し、パーツに吹き付ける前に必ず試し吹きをして、色味やツヤ、濃度を確認しておく。

濃度の変化による塗装の違い
写真右から、薄過ぎる状態、適正な濃度、濃過ぎる状態。塗料の状態や塗装する環境によって、適正な濃度が違ってくるので注意が必要だ。

パーツのホコリを取り除く
これまでにも説明しているが、パーツを塗装する前には、ゴミやホコリが付着しないように、ハケや筆でホコリを取り除いておく。

試し吹きをする
パーツに塗料を吹き付ける前に、もう一度試し吹きをして、塗料の濃度やハンドピースの吹き付け感覚などを確認しておこう。

パーツの端から吹き付ける
塗料を吹き付ける順番は、①パーツの端、②奥まったところ、③面積の広いところの順。これは乾燥した後の塗料の厚みを均一にするためだ。

奥まった部分の塗装
奥まった部分を塗装するときは、1箇所に吹き続けると塗料が垂れることがある。ハンドピースの先を止めないように動かしながら塗装しよう。

面積が広い部分の塗装
最後に面積が広い部分を塗装する。一度塗料を吹き付けたら別の場所を塗装して、局所的に塗料を吹き付け過ぎないように注意しよう。

何回も重ね塗りをする
エアブラシ塗装は何回も重ねていくのが基本。今回は4回に分けて発色するように重ね塗りをした。焦って1発で決めようとするのは「タレる」「流れる」「溜まる」といったトラブルの元。

カップに溶剤を入れる
次の塗装をする前に、カップの中にある塗料を洗い流す必要がある。カップの中の塗料を移し、ハンドピース内部の塗料もすべて吹き出してから、カップに溶剤を入れる。

“うがい洗い”をする
「うがい洗い」とは、ハンドピース先端をふさぎ、空気を逆流させてハンドピース内部を清掃する方法だ。ハンドピースの種類によって方法が異なるので、説明書をよく確認しよう。

カップ周辺の塗料も洗う
ハンドピース先端を指で押さえて「うがい洗い」を繰り返す。このとき、カップ周辺の塗料も筆を使って洗い流しておこう。

うがい洗いを繰り返す
塗料がしっかりと落ちるように、カップの中の溶剤を何度か交換しながら、先ほどの要領でうがい洗いを繰り返す。

ハンドピース先端の清掃
ハンドピースの先端には、先に吹き付けていた塗料が固着している。そのまま残しておくと塗装面に吹き付けてしまう場合もあるので、清掃しておく。

洗浄が終わった状態
ハンドピースの中の塗料が完全に落ちると、溶剤を入れても濁らなくなる。メタリック系の塗料やパール系塗料などは顔料が残りやすいので、しっかりと洗浄しよう。

カップのフタを洗う
見落としやすいのが、カップのフタの内側の汚れ。そのまま塗料が残っていると、新しい塗料に混ざって正しい色味が出ないことがあるので、ここも洗浄しておこう。

ハンドピース本体の洗浄
ハンドピース本体に塗料が付着していたら、溶剤を含ませたティッシュなどでキレイに拭き取っておく。手に塗料が付いたまま、パーツを汚してしまわないように注意。

明るい色の混色
塗装で濃淡を付け、モビルスーツをより立体的に見せるのがグラデーション塗装だ。まず、先に塗装した塗料にホワイトを混ぜて、一段明るい色を混色しよう。

塗料の混色
混色した塗料をよく混ぜ、好みの色になるまで調整する。塗料の混色が済んだらうすめ液を混ぜて、濃度を調節しておこう。

風圧を調整する
グラデーション塗装をするときは、細かいところを塗装することが多い。コンプレッサーにレギュレーターが付属しているなら、ハンドピースに送られる風量を弱く調整する。

試し吹きをする
必ず試し吹きをして風量や塗料の濃度、色味を確認すること。できれば先に塗った下地の色に吹き付けて、色の関係を確認しておくといい。事前の確認が失敗しない塗装への近道だ。

塗料を吹き付ける
グラデーション用に風圧を弱くしているので、下地を塗装したときよりもエアブラシの先をパーツに近づける。試し吹きのときに距離感もつかんでおこう。

グラデーション塗装のコツ①
グラデーション塗装で明るい色を塗装するときは、先に塗った暗い色の塗料が周辺に残るように塗装していく。面積の広いところが明るく見えるようにするのがコツだ。

グラデーション塗装のコツ②
グラデーション塗装で濃淡を付けた状態。パーツ中央部分が明るい色、モールドや周囲に向かって色が濃くなるように塗装すると立体感が強調される。

マスキングテープを剥がす
パーツの塗装が済み、塗料が乾燥したのを確かめてから、マスキングテープを剥がす。ピンセットなどを使って、塗膜が傷つかないようにゆっくりとテープを剥がす。

グラデーション塗装したパーツ
塗装終了後に、吹き漏らしや意図していないところを塗装してしまうなどの失敗を発見することもある。失敗したところは、もう一度塗装し直して納得いくまで挑戦してみよう。

色味の違い
グラデーション塗装したものと未塗装のキットの比較。グラデーション塗装をしたほうが色に深みがあり、立体感も増している。

※ABS樹脂への塗装は、破損する恐れがありますので、ご注意ください。

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