【第3弾】

地球上で最も可愛く、最もヒエラルキーの高い生命体「ねこ」。ねこの幸せを願って、開発された支援メカ「Build Up Support Operation Unit (強化型支援作業装置)」、通称「ぶそう」が普及してしばらくたった頃。

初期バージョンの「生活支援型ぶそう」によって生活環境の質が向上し、次に開発された「小動物型ぶそう」によって遊びと移動手段を確保したことで、暮らしを格段に向上させたねこたち。その成功を受けて世界中のねこ愛溢れる技術者たちは【ねこによるぶそうの自発的運用フェイズ3】へと移行するべく、新たなぶそうの開発に着手した。

今回はねこの生活圏そのもの拡大を目的とし、新型の「ぶそう」は開拓や探査に特化した小型メカとして開発された。また、DNAを刺激してより強い生命力を与えるべく、太古の巨大生物の化石からDNAを解析し、そのデータをねこぶそう形態に組み込んだ。ねここそが世界中で最も可愛く、最も繁栄する生命体になることを願って……。

そうして開発された最新バージョンのぶそうや新型のジャケットが配備されると、例によってねこたちの遊び道具となってしまうわけだが、今回はもともと想定されていた「太古の巨大生物型」以外にも陸・海・空さまざまなシチュエーションに対応したニャスタマイズが目撃されている(何に対応したのかよくわからない形態も多数存在する) 。

最終的に太古からのDNAに刻まれていた「長期間化石になっていた」という要素に反応し、眠気が増してしまったねこたち。しかし、ねこたちはただ眠いだけでは終わらず、ぶそうに秘められた探索能力を駆使して究極に寝心地の良い新天地を求めて冒険の旅に出るのであった。

【第2弾】

地球上で最も可愛く、最もヒエラルキーの高い生命体「ねこ」。そんなねこの幸せを願って、科学技術を格段に発展させた人類が開発した支援メカ「Build Up Support Operation Unit (強化型支援作業装置)」、通称「ぶそう」。ねこがぶそうをまとった姿は「ねこぶそう」と呼ばれる。
街中に多数配備されたぶそうの存在にもすっかりなじみ、その便利さを享受していたねこたち。自動的にごはんやおやつが与えられるなど、至れり尽くせりの生活の中で幸せに暮らしていたが、その姿はどこか刺激に飢えているようにも見えた。
ダラダラしている姿も可愛いが、活発に動き回る姿もねこの魅力である。技術者たちは、ねこが本来持つ本能を刺激して活性化させる、新規コンセプトのぶそうの開発を急いだ。
ねこたちの遊び相手になることを主眼として開発された小動物型ぶそうであったが、ねこぶそう形態での実用性も見越して、ねこの移動を補助する機能が内蔵されていた。そうして、これまで以上に活発に遊び、行動範囲を拡大してアクティブに動き回るねこたちの姿が見られるようになった。
また、【ねこによるぶそうの自発的運用フェイズ2】とも位置付けられる今回のぶそう開発では、新規開発されたトイレ型ジャケットに操作レバーを取りつけ、ねこによる手動操作とAIによる自動操縦の併用検証も行われた。
各所では自由気ままなニャスタマイズと、さらなるてんこ盛り現象が観測され、多種多様の移動特化型ぶそうがキャラバンを組んで郊外に大移動を行う様子も目撃されている。とはいっても、搭載されたタイマー機能でご飯の時間には自動的に家に戻るようであるが。

【第1弾】

地球上で最も可愛く、最もヒエラルキーが高い生命体「ねこ」。文明を発展させ、栄華を極めたと思われた人類だったが、ねこの可愛さに魅了され、いつしかねこの幸せを最優先に考えるようになっていった。
世界中のねこ好き技術者たちの想いの強さにより、科学レベルは格段の発展を遂げていき、ある企業がねこの周辺環境の世話をする支援作業装置、「Support Operation Unit」(通称「S.O.U.」)を開発した。
高度なAIを搭載し自立行動が可能なS.O.U.は、食事や水のお世話や周辺環境のパトロールなどの目的で配備された。ねこたちは自分の世話をしてくれるこの機械の存在を受け入れ、両者はよい関係を築いていた。
しかし、高度なAIを持っていても、機械であるS.O.U.には気まぐれなねこの気分を完全に理解することができず、ねこの求めるものにうまく対応できなくなっていった。要求を満足に満たせないとわかるや、ねこはS.O.U.に微妙な距離感を置いてしまうようになった。
この状況に危機感を持った技術者たちは、ねこの気まぐれな欲求に対応できるよう、ねこ自身による自発的運用を可能とする特殊ウェア「ジャケット」の開発に着手した。さらにS.O.U.には分離合体機構を搭載し、フレキシブルに機能を発現できるよう改良を行った。
こうして改良版「Build Up Support Operation Unit (強化型支援作業装置)」、通称「ぶそう」が完成し、ぶそうをまとったねこの姿は「ねこぶそう」と呼ばれるようになる。
ぶそうとジャケットは無償でねこたちに配布され、ねこ自身による自由気ままな暮らしの中で、ときに便利にときに遊び道具として活用されることになる。
ねこぶそう形態は、ねこ自身の欲求と気分により自在に組換えが可能であり、設計者の想定を超えた「てんこ盛り」と呼ばれる状態も観察されるようになる。明確な目的意識によって、もしくはなんとなく組みあがった多種多様なねこぶそうによるねこ集会が、街中のいたるところで見られるようになったのだった。

【ねこ】

【アメリカンショートヘア】

「ねこぶそう」で強さを誇示しつつ甘えん坊という自己矛盾を抱えたねこ。

【ホワイト】

物事にあまり動じないねこで「ねこぶそう」形態もパワー型。1~2弾の白ねこたちとは別個体。

【茶白】

おもちゃ好きで賢い。新しい遊びを考えているうちに自ら遊具型「ねこぶそう」となった。

【スコティッシュフォールド(グレー)】

何を考えているかよくわからない変わり者のねこ。独特の「ねこぶそう」を編み出す。

【長毛種ねこ】

美しい毛並みをもつねこ。高貴な雰囲気を漂わせているが、実は活発で「ねこぶそう」での冒険を試みる。

【サバシロ】

人懐っこい性格で、「ぶそう」を活用して人間受けする姿を模索している。

【シャム】

バイクとか毛を取る道具とか気に入ったものを「ぶそう」でマネする傾向がある。

【しろ】

飼い猫なのか、ねこタワーが好きで「ぶそう」で自ら再現する。1弾のシロとは別個体。

【トビミケ】

特殊な「ぶそう」を好む変わり者。サソリとかドリルとかどこで覚えたのか謎である。

【スコティッシュフォールド】

面白そうな物があるとついつい立ちあがって見入ってしまう。「ねこぶそう」でも立って乗る。

【グレー】

「ぶそう」の使い方をいち早く覚えたねこ。集会のご飯の準備や写真撮影をしている。

【シロ】

「ぶそう」を駆使して空を散歩したり、ほかのねこをマッサージしたりと優雅に過ごす。

【茶トラ】

「ぶそう」を使ってクローラーでゆっくり移動したりドローンで浮いてたりする。

【クロ】

独特な「ぶそう」の使い方を考案しては近所の人たちを驚かせている。縄張り意識が強い。

【ハチワレくつした】

「ぶそう」をモリモリつけ我が物顔で歩くが、モーターの熱でついつい眠くなる。もしかしたら飼い猫かもしれない。

【ジャケット】

ねこがぶそうを直接運用できるよう開発された特殊ウェア。
ねこの「気分」を読み取ることでぶそうを操作する機能は早期に開発が成功したが、装着のプロセスが困難を極めた。
当初はプロテクター状の形状であったが、何かを着るという習慣を持たないねこたちにはいまいちピンと来なかったらしい。試行錯誤の末、「着せるのではなくねこ自身が中に入りたくなるデザイン」という逆転の発想で、キャリーバッグ型、コタツ型、段ボール型にたどり着く。これにより、ねこは積極的にジャケットに潜り込むようになった。
居心地がいいのか、現在では用がなくてもジャケットを着用するねこの様子が多数目撃されている。

【ぶそう】

ねこの世話をするために開発された強化版S.O.U.。単体ではミニメカ状態で自立行動が可能。
初期開発型として、ランチ用にカリカリやジャーキーを射出するランチャーメカ、木から降りられなくなったねこの救助用のヘリメカ、水分補給用のタンクを内蔵したタンクメカ、周辺パトロール用のジェットメカが存在する。
ぶそう同士での合体や、ジャケットを介してねこにぶそうされることで、拡張機能を発揮する。

【ねこぶそう】

ジャケットにより実現したねこがぶそうをまとった状態。その形状はねこ自身の気分と欲求を反映してフレキシブルに変化する。
基本的には元となるぶそうの基本機能を踏襲し、ヘリメカとのねこぶそうでは飛行が可能になったりするのだが、ねこの欲求を反映すると「ねこマッサージ」といった別の機能を持つ形態へ発展したりする。
ねこの個性を反映して「ねこビースト」などのもはやよくわからない形態を実現する場合もある。

【てんこ盛り】

特殊パーツとして開発された「ねこ缶ポッド」は、ジャケットにマウントすることでねこ缶3缶パックを5セットを持ち運べるという容器だが、反重力装置内蔵によって、ねこ缶の重さを軽減することが可能というオーバースペック気味の機能が搭載されていた。
この装置を応用し、本来なら限界重量を超えた「ぶそう」をマウントしたねこが我が物顔で歩くという「てんこ盛り現象」が観察されるようになる。
てんこ盛りの特徴として、ねこ自身も何をしたいかよくわかっていないために、ぶそうをモリモリつけた割に大した機能がないということがあげられる。

【小動物型ぶそう】

ねこの生活圏内に生息する身近な動物をモデルに開発された。これまでのぶそうよりも生物的な思考のAIを持つ。

メカカラス

天敵のカラスを模しており、ねこの防衛本能を刺激するが、鳴くくらいで実害はない。

メカネズミ

狩猟本能を刺激し、ねこと追いかけっこで遊べるが、耳がつかえて狭い所に逃げ込めない。

メカカタツムリ

ねこの好奇心を刺激するはずだったが、動きがゆっくり過ぎて眠気を誘う結果に。

メカトカゲ

その姿でねこの闘争心を刺激するものの、尻尾パーツを置いてすぐに逃げ出してしまう。

【移動を補助する機能】

主に車輪やクローラーを用いた移動機能だが、ねこ本来の柔軟性や反射神経を活かし、翼や多脚といった機構を採用したものもある。

【ねこによるぶそうの自発的運用フェイズ2】

初期開発型のねこぶそうでは、ねこの「気分」や「欲求」を読み取ることで操作するスタイルが主流であったが、調整が難しく、感度によっては気分に即反応して意味不明な動作を行うことがあった。フェイズ2では「操作レバー」という概念が導入された。アナログな手段ではあるが、ねこであっても訓練によってより直接的な操作が可能になることを期待しての実装であったが、肉球でぷにぷにするくらいでほぼ役に立たなかったため、もっぱらサブシステムの自動運転で動くことになる。

【自由気ままなニャスタマイズ】

すでにニャスタマイズを使いこなしていたねこたちは、あらたなぶそうが支給されるやいなや、ねこタワーを模したり、転がして毛を取るアイテムに自ら化してみたりと、欲望の赴くままにニャスタマイズを行った。

【さらなるてんこ盛り現象】

ねこぶそうの初期実用段階では、ねこ缶ポッドに搭載された反重力装置を応用して、限界値を超えたねこぶそうを実現するねこが現れ、その様子が「てんこ盛り」と呼称された。
今回は、もともと移動型ニャスタマイズの核となるべく開発された「のりものコア」を応用して、複数の移動型ぶそうを強引に合体させた「ねこ世紀末トライク」の存在が確認されている。

【生活支援型ぶそう】

最初期の「ぶそう」は自動エサやりや迷子ねこ探索など、日常生活に即した機能を搭載する。

【小動物型ぶそう】

改良型「ぶそう」はねこの遊び相手となるよう身近な小動物をモチーフに開発された。

【ねこによるぶそうの自発的運用フェイズ3】

フェイズ2では、ねこ自身がレバーによって操作を行う検証がなされたが、肉球でぷにぷにする程度という結果しか得られなかった。フェイズ3では、運用手段ではなく運用目的に主眼を置き、ねこ自身が自発的に「ぶそう」を活用して生活圏拡大を行うようになることを目指している。

【ねこの生活圏そのもの拡大】

現在ではねこの生活圏は人類の居住圏、主に都市部に集中しているが、「ぶそう」の活用により、あらゆる環境にねこが適応できる可能性がある。ねこ好き技術者たちは、地球上どこにでもねこがいる未来を目指して日々開発にいそしんでいる。

【開拓や探査に特化した小型メカ】

生活圏を拡大するために必要な機能を搭載した小型メカ。潜水艦、汽車、ドリル、プロペラ機をモチーフとし、陸・海・空・地中まで、あらゆる局面での活動に対応している。従来のぶそうよりジョイントパーツを多く使用し平均機体重量が増している。「中盛り」と呼ばれる所以である。

【新型のジャケット】

洗濯カゴで遊んでいるねこを見た技術者により開発された新型ジャケット。取っ手が可動するので実際に洗濯カゴとして使う家庭もあるとか。

【太古の巨大生物型】

小動物型ぶそうが物陰に隠れてフリーズするという不具合が確認されている。

【太古からのDNAに刻まれていた「長期間化石になっていた」という要素に反応し、眠気が増してしまったねこたち】

完全に想定外であった。

【究極に寝心地の良い新天地】

大海原に繰り出すことも出来るよう、「肉球の帆」を組み込み実現した海上移動による大陸間移動システム、通称「舟盛り」。これに代表されるように生活圏の拡大を見越して開発した「ぶそう」であったが、よくよく考えればねこたちが率先して過酷な環境に移動するはずがなかったのだ。結果的に目指すのは寝心地の良い場所である。