ただいまプレミアムバンダイにて発売中のPERFECT GRADE 1/72 ミレニアム・ファルコン。まだ中身を見た事がない人も多いと思いますのでパーツ写真を大公開。どうです、この尋常じゃない膨大なパーツ数!総パーツ数、約680にも及ぶ大作キットです。しかも個々のパーツには撮影用モデルとまったく同様の、もはや肉眼では見えない細かい彫刻がビッシリと入っています。しばらくパーツだけを眺めていてもまったく飽きません。きっと見覚えのあるパーツが発見できると思いますので、まずはじっくりとパーツを見てお楽しみ下さい。
こちらが組み立て説明書とエッチングパーツ、及び大判のデカールと遮光シールです。本体が無塗装でもデカールを貼って少し汚し塗装を加えるだけでも立派なミレニアム・ファルコンが完成します。が、今回の制作は「最高レベルの完成品を制作せよ」との指令を受けているので、本体、各パネル共すべて塗装で塗り分けます。
組み立て説明書の中身です、約60ページもあります。実際の組み立ての前に、よくこれを読んで組み立て工程全体の脳内シミュレーションを行って下さい。必ずしも説明書通りの順番で組み立てなくてもOKです。今回の組み立てでも、フル塗装を機体に施す関係から順番を入れ替えて組み立ててゆきます。またキットの組み立ては接着剤を使わないハメ込み式スナップキットですが、今回はすべての差し込みダボの穴を削り接着剤で組み立てを行います。この変更は「昔からプラモデルは接着剤で組み立てる物」、「スナップだとなんかイヤ」と言う個人的な思い入れと、汚し塗装を加えた時にパーツの割れを防ぐ意味も兼ねています。
組み立てに必要な工具をご紹介します。まずニッパーですが、出来れば2000~3000円前後の少々値段が高い各社の「薄刃ニッパー」がお勧めです。なにせパーツ数が膨大なので、一回できれいに切れる方が、のちにゲート処理する上でも手間と時間が掛かりません。ヤスリは金属用の物で目の細かい薄刃の平ヤスリがお勧めです(私はウオチキュウ社の5本組平ヤスリを使っています)。他に追加工作の穴をあけるピンバイスやデザインカッター、プラモデル用接着剤と瞬間接着剤なども用意しておくと便利です。
まずは組み立て説明書の順番通りにLED回路を組み立てます。ボックスに電池を入れてLEDハーネスを接続し、LEDが点灯するかテストします。各LEDは接続コードの長さが違いますので、説明書をよく読んで指示通りに接続して下さい。
LEDの点灯を確認したらLEDハーネスを一度ボックスから外し保管しておきます。この時コネクター部分を破損しないように注意して下さい。
組み立て説明書では最初にコクピットから組み立てますが、いきなりフィギュアやコクピットの塗装が必要となりハイレベルな作業となるためそこは飛ばして、12ページの工程3の通称クチバシ(又はアゴ、マンディブル)から組み立て始めます。またこのキット(バンダイのキットはほとんどそうですが)は誰にでも作れるようにと接着剤を使わない、はめ込み式のいわゆるスナップ・キットです。しかし長年“プラモデルは接着剤を使って組み立てて来た世代”の我々にとっては、接着剤を使って各パーツをガッチリと固定して組み立てないと、気分的になんとも落ち着きません。「なんかイヤ!」なのです。そこで今回は各パーツのピンとダボ穴の緩着部分を削り、各パーツを接着剤でガッチリと固定する方式で組み立てていきます。ガンプラに慣れている若い世代には不慣れな事かもしれませんが、高橋個人の制作方法としてご了承下さい。
それでは具体的な作業方法を紹介します。まずは右側マンディブル(英語で昆虫類の“アゴ”の意味。)の丸穴の内部パーツから組み立てます。各パーツは指示通りにニッパーで切り出し、カッターでゲート処理をしてから、はめ込み用の軸をニッパーかカッターで細くして、パーツをハメ込みではなく接着式で組み立てていきます。写真の赤い部分が削ったところです。キットの緩着部をよく見ると、ピンかダボ穴の方にごくわずかに突起した部分が見られます。このごくわずかな突起のおかげでパーツを接着することなく、差し込んだだけで固定されるのです。実はこの吸い付くように固定できる緩着部分は、このデジタル時代にどのメーカーでも出来ると思われるかもしれませんが、実はこの部分だけはバンダイの経験豊かな「金型職人さんの手作業」ですべて調整されているのです。これこそ素晴らしい「ザ・職人技!」以外のなにものでもありません。まさに長年ガンプラで培ったメーカーの職人さんだけが出来る特殊技能ですね。しかし・・・今回はそんな素晴らしい技術を否定するように、各パーツをすべて接着式に変更して制作します、金型職人の皆さんゴメンナサイ。
ここではいきなり切り出しにくい細かいパーツもあるので、D14のパーツを例にとり切り出し方を説明します。小さいパーツは良く切れる薄刃ニッパーを使って周りのランナーごと、いったん大まかにカットします。
さらにニッパーで細かく数回に分けて、余計なランナーを切り取ります。

仕上げはゲート部分に精密ヤスリを使い、直線部分をきれいに出して切り取り完了です。
撮影用モデルは市販されていたプラモデルのパーツをそのまま貼り付けてディテールの一部として再現されていますが、その流用されたプラモデルのパーツには他のパーツを取り付けるための小さな穴が開いている場合があります。本キットは射出成型上の問題等もあり、これらの小さい穴がふさがっていますので、特に目立つ大きめの穴のみ開けていきます。C3パーツの写真の上方に、大きめの穴(と言っても1mmですが)が2か所ありますので1mmのドリルとピンバイスを使い、穴を開けます。その他のパーツは特に加工はないので、組み立て説明書通りに組み立てます。
次にマンディブルの右側面ゴチャメカパーツを組み立てますが、ここでも2パーツほど穴あけ加工を行います。最初にD30のパーツですが、ちょっと加工の難易度が高いので慎重に作業して下さい。まずはD30のパーツ上下の縁を薄くしたいので、甲丸の精密ヤスリを使って上側の内側を削ります。下側の内側は取り付けボスがあるので、こちらはデザインナイフを使います。写真は未加工のパーツ。
内側を削ったらまずは上下の四角い部分を切り抜きます。最初は0.6mmのドリルを使って数か所おおまかに穴を開けていきます(右側)。次にその穴をガイドにして先端の細いデザインナイフを使い、内形に沿って少しずつ削って形を整え、最後に精密ヤスリを使い直線をきれいに整形します(左側)。
こんどはその内側に多数ある凹モールドに、0.6ミリのドリルを使って貫通穴を開けます。数が多いので、ゆっくりと作業して下さい。このパーツは右側面のゴチャメカパーツの中にあって唯一浮いているパーツで、このパーツを薄く削る事でキットの巨大感を演出し、なおかつミレニアム・ファルコンの繊細さも表現出来る重要なパーツです。
D30のパーツはこれくらい薄くなるとベストです。また土台パーツとなるD32パーツですが、機体の上下を取り付けた際に少し浮き気味になるようです。ここは上下の接地面となる写真の赤い部分を軽くヤスリ掛けしておくときれいに取り付けられます。
ピタリと上下の機体にスキマなく収まったD32側面パーツ。その他のパーツは特に組み難い所もなく、マンディブルのパーツは組み上がります。
右側面のパーツで、もうひとつ注意して切り出したいのがI24の細いパーツ。ここでも先に触れた3段階の切り出し方でパーツを切り出します。まずは薄刃ニッパーでランナーごと切り取り。
さらにニッパーで細かく余計な部分を切る。
仕上げはカッターできれいに。ここではパーツが細すぎて精密ヤスリが使えないので、仕上げはカッターの手作業で行う。また機体側面への取り付けだが、後ろ側上下2か所の接着は点付けに近いためまずは普通の接着剤で行い、それが乾いたら仕上げに瞬間接着剤を流して強度を確保する。
パーツ番号I13の前後にある2か所の凹モールドにも1.2ミリで貫通穴を開けます。またその後ろにあるW14パーツも切り出し難いパーツなので、前に紹介した3段階の切り出し方法で対処して下さい。
配管パーツはまだついてませんが、一通りの組み立てが終わった右のマンディブル。
マンディブルを完成させると内側のD9パーツの上方に1ミリほどの隙間が空きます。「何か組み立て方を間違えたのか?」と思われる方がいるかもしれませんが、ここは見えない部分であり、構造上間違いではありませんので慌てて埋めないようにして下さい(埋めても問題ないですが・・・)。
次に組み立て説明書に従い、左のマンディブルも組み立てます。ここでも丸穴の内部メカ、B4パーツのパイプ状のモールドが6列並んでいる部分とその前にある凹モールドに、1.2ミリのドリルで穴を開けていきます。ただし6列並んでいる方は貫通穴ではないので、下まで突き抜けないようにご注意ください。それ以外の組み立ては説明書取りに組み立てます。
左マンディブルの側面には、細く長いランナー状の配管パーツが5本セットされます。これらは機体の水平ラインと平行になるように注意しながら取り付けましょう。
配管パーツ以外組み上がった左マンディブルの下面側。
さて、ここまでマンディブルの表面に付く配管パーツを取り付けてきませんでしたが、それには理由があります。キットをストレートに組む場合のスナップ式圧入から、接着材を使った接着方式の組み立てに配管パーツも変えようと思います。しかし未加工のまま配管パーツを圧入して、その上から接着材を浸み込ませる方式で取り付けると、パーツに高いテンションが掛かって要るためか?配管パーツが途中で割れてしまいます。そこで配管パーツ取り付け部の突起もすべて削ってから配管パーツを接着します。写真は未加工のボス穴。穴の側面に僅かな凸(突起)部分があるのが、お判りいただけるだろうか?
突起のある穴の側面を削った状態。
穴の突起を削ると穴自体が大きくなりスキマが出来やすいので、その場合は配管パーツの突側(ダボ側)を削ってやる。写真は未加工の取り付け部で、差し込み部分中央にうっすらと縦模様の凸部分があります。

差し込み部の凸部分を削った状態。これでパーツは圧入ではなく、差し込み式に変更出来たので普通の接着剤が使えます。なおこのパーツの取り付け方法はマンディブルの配管パーツのみの方法ではなく、機体の本体に取り付ける多くのディテールパーツにもひとつひとつ同様の加工を施している。その作業時間たるや・・・。なんとかこれで、左右のマンディブルが完成となりました。
次に円盤部の船体下面の組み立てです。最初に取り付け指示がある搭乗ボックスの先端と、船体破損部の内部メカは塗装してから取り付けますので、ここでは取り付けません。
船体後部の亜高速エンジン・ノズルと噴射口を説明書通りに組み立てる。この時全パーツが機体下面にピッタリと接地しているか?また、格子状の噴射口は横直線に綺麗に揃っているか?等に注意しよう。またこのあと取り付け指示のある発光用のクリアーパーツも、船体塗装後に取り付けるのでここでは取り付けません。
次は船体下面前部、左右2か所にある穴メカの組み立てです。まず右側の方から組み立てますが、配管パーツK49は取り付け位置が高い箇所にあるため、板状の支柱が横から見るとはみ出した部分が目立ってしまいます。
ここは取り扱いに注意すれば影響がないので、この支柱をカットします。
余分な支柱の部分を切り取り整形した配管パーツ。この状態でベースに接着すれば問題はありません。カットした下半分は取り付け用に開いていたQ22パーツの穴を埋めるために使用します。
完成した穴メカパーツ。と、ここで完了の予定でしたが、前方に付く小さな配管パーツが省略されているのに気が付いてしまいました。作業的には15分もあれば作れる簡単なパーツなので、付け加える事にします。
余ったランナー枠から、直線部分が長い部分を見つけニッパーで切り出します。それにドライヤー等の熱風を吹き付けて(ドライヤーにはキャップが付いている場合が多いので、そのキャップを取って熱源になるべく近づけます。くれぐれも火傷しないようにご注意ください。)、3~5分ほどゆっくり回しながらランナーが柔らかくなるのを待ちます。ランナーが曲がってきても、すぐには延びる状態にはなりませんのでゆっくりと作業して下さい。くれぐれもドライヤーで火傷しないようにご注意ください。ランナーがフニャフニャの柔らかい状態になったら、左右にゆっくり引っ張ってランナーを伸ばして直径が1.5ミリくらいになったら伸ばすのをやめます。この状態で手を放すとランナーが縮みますので、縮まなくなるまで引っ張ったままの状態にして下さい。縮まないことを確認したら、こんどは真ん中あたりからゆっくりと直角に曲げていきます(まだランナーが温かい状態だと曲げられます)。こうして出来たのが写真の状態で、このまま完全に冷えるまで待ちましょう。
ランナーが冷えたらL字型にカットして、穴メカ前方の写真の位置に取り付けます。なにせ物が小さいので、気にならない方はこの作業を省略してもかまいません。あくまでもこの記事は組み立て参考用なので、〝こうしなければいけない”というものではありません。楽しんで作ることが一番重要なのです。
下面左側の穴メカは前方の凹モールドの部分に1.8ミリで穴を開け深さを確保し、裏側からフタをします。また各パーツ表面をよく見ると小さな凹モールドがあります。これは流用された元キットのパーツに小さな部品を取り付けるために開けられた穴のモールドなので、ここはSWファンのこだわりとして0.4ミリのドリルで穴を開けてみました。
ここで下面船体の前後を合わせますが、仮組みしないでいきなり合わせてしまうと圧入の影響で二度と取れなくなる可能性があります。また今回はすべて接着式に変更しているので、船体前部の合わせ面の一部を削ってスムーズに合わさるように加工しました。写真の赤い部分には直角の角があり、接着式の場合はかえってはめ込み難いのでは?と考え角部分を削りました。また左右の固定用のダボ穴も前後の縁を削ってハメやすくしています。
さらに船体前部がキッチリと奥までハマっているか?を確認するために、結合部に写真のような穴を開けて確認出来るようにしました。最後までハマっていると穴の中から船体前部が見えるので、スナップ式で組む方にもお勧めの加工です。
また船体前後が最後までハマっていない場合には、つなぎ目中央部の矢印の部分に段差が出来ますので、しっかりとご確認下さい。
下面中央部は特に問題なく組み立て完了。船体に取り付ける際にはLEDをお忘れなく。
完成した下面の円盤部。
次に左右の搭乗ボックスの円盤部を完成させます。ここは説明書の指示通りに組み立て、穴メカ同様に0.4ミリと0.8ミリの穴あけを行い、ディテールアップを行います。また左の円周部下面に付くK56パーツは折れやすいので、塗装後の最後に取り付けた方が良いでしょう。
右側搭乗ボックスの後方側面パーツWB6の先端が若干高さが高いようで、組み立てると下面との間にスキマが出来てしまいます。ここはほんの少し0.3~0.5ミリほど、写真の赤い印の部分を削ってから取り付けるとスキマが無くなります。
機体の正面奥に付くパーツG5、G8、G9を組み立て、G8の正面2か所の凹モールドには1.2ミリの穴を開けます。G8パーツの上下3か所ずつある凹モールドには1ミリのドリルで穴を深くし、こちらの穴は貫通させません。
円盤部のゴチャメカ側面パーツは説明書通りに組み立てていけば、特に組み辛い箇所等はありませんのでそのまま進行して下さい。
左右のマンディブルを取り付けて、ほぼ完成した船体下面。電飾関係は最後に取り付けるので、この時点ではまだ取り付けていない。また塗装のやり易さから、船体の上下を合わせるのは塗装後にする為しばらくこの状態で作業を行います。
と、ここでこのマンディブルの取り付け位置に関して、最近知り合いから「左右で高さがズレているのが正解ではないか?」と質問された。どうも海外のモデラーがそれを指摘して、マンディブルの取り付け部の片方にプラバンを挟んで左右の高さを違えて作っているらしい。確かにクロニクル等の資料写真を見ると左側のマンディブルの方が右側に比べわずかに下がって位置している。さすが国境がないSWマニア達、よくそんな細かいところまで見て気が付いたねぇ・・・と感心する事しきりだが、その方は残念ながらちょっと早合点したねぇ。なにせキットは〝最初からマンディブルの位置は正しく左右の高さがズレて設計されている”のだから。写真にある船体とマンディブルの左右の隙間の違いに注目して下さい。さらに確認したい方は組み立て説明書の最後の方にある、デカール位置の指示書に書かれている正面図をよく見ればズレている事が納得頂けるでしょう。このキットはそれくらい高いマニアックなレベルで設計されているという事なのです(宣伝、笑)。
組み立て説明書の順番ではこのあと上面の製作に掛かりますが、ここでは順番を変えて31ページに飛んでいっきに船体下面を最後まで作ってしまいます。搭乗タラップやその横に付く斜めの装甲板も、特に制作上難しい箇所はありません。船体上下にある銃座の円形パーツ(X10とX18)は銃座内部の塗装を終えてから最後に取り付けますので、それ以外の後方パーツを組み立て進行して下さい。なお、Q17パーツは先にX18円形パーツをセットしてから取り付けますので、この時点では取り付けません。
完成した躯体下面の機械類が密集する後部エリア。一見すると組み立てが複雑に見えるかもしれないが、何のストレスもなく簡単に組み上がる。ここでもQ15、16パーツに1.2ミリの穴を、Q12パーツの凹モールドには1.5ミリの穴を開けてディテールアップを施している。
ほぼ組み上がった機体下面。三か所ある脚扉は脚が出た着陸状態と選択式にするのでこの時点では取り付けない。
続いて脚パーツを組み立てます。最初のF1-10とF1-11を合わせた際に前方に少し大きめの隙間で生じます。ここは瞬間接着剤を流してスキマを埋めてやり、さらに下面のクッション部にもパーティングラインがあり、後のパーツがハメ難いので共にヤスリで整えてやりましょう。
脚パーツは直線部分が多いので、ここでもニッパーとカッターを使った3段階のカット方式できれいにゲート処理を行うのがお勧めです。仕上げは精密ヤスリで平面出しを行います。
完成した前後の脚パーツ。完成後は脚柱の中心線が正面から見て曲がっていないか?F2-1のカバーは水平に付いているか?等をチェックします。脚は全体的にパーツが細かいため、特にスナップ方式で組む人は水平垂直のラインが出し辛いので特に注意して下さい。出来ればここだけは圧入用のダボ穴をカッターでゆるくして、接着剤を使って組み立てた方が綺麗に作れるかもしれません。
ここから船体上面の制作に移ります。まずは三か所ある穴メカを作りますが、ここは説明書通りに制作していきます。と、あまりにスムーズに作業が進行したので、完成写真を撮り忘れて船体に接着してしまいました、スミマセン。
また穴メカと同時に上面裏側にはめ込むS1-8、S1-9、S2-28、S2-31パーツは、下面に取り付けたゴチャメカ側面パーツの位置が少しでもズレると、船体上下を合わせた際に干渉する可能性があります。そこでハメ込み穴を半分にカットして、船体の上下を合わせて仮組みしてから、外側から後ハメ出来るように加工します。
仮組みして四つのパーツを組みつけて(この作例の場合は接着してます)みると、S2-28とS2-31の二つのパーツが1ミリほど外側にズレてしまいました。作例を作る度に(私の場合は)これらのパーツがなぜか毎回少しずつズレて接着されてしまうので、皆さんも安全策を取ってこれら四パーツは最初から1mm外側に取り付けた方が良いかもしれません。
次に前方に取り付ける四角いミサイル格納庫を組み立てますが、前面と側面のパーツにスキマが出来やすいようなので、接合部にヤスリを当て平面出しを行ってから合わせます。前面のパーツは裏側の合わせ目の表面を少し削り(写真の赤い部分。裏側のパーツは接着用に削っているので関係なし)、側面は穴を少し広げた方が良いようです。取り付けの順番は前面を先に取り付け、そのあとに側面を取り付けた方がスキマが生じません。またスキマが出来た場合は瞬間接着剤を少量流せば、隙間が埋まると思います。
ここでも流用された元のキットに穴が開いている部分があるので、矢印の凹モールドの部分に0.4ミリと0.8ミリのドリルを使ってモールドの穴を深くします。どれも貫通穴ではありませんので、少し深くするだけで構いません。
続いて左右の搭乗ボックス上面を取り付けますが、ここで付属のエッチングパーツを使うか、プラパーツを使うか選択します。プラパーツを使うぶんには組み難い箇所はないと思いますので、今回はよりグレードの高いエッチングパーツを選択しました。まずはエッチングパーツが付く内部とその下部分を、つや消し黒で塗装しておきます。なお写真は左側ですが、右側も同様です。
ここでエッチングパーツを取り出しますが、ここからの切り出しや取り付け方法等は、このあと加工する船体後ろに6か所ある円形放熱パネルのエッチングも同様の加工で取り付けます。エッチングの切り出しですが、エッチングバサミ等の専用の道具もあるのですが、余白との接点が細いので普通のカッターを使えば十分でしょう。まず下に木材や2ミリプラ板等の厚めの物を敷き、接点部分を数回に分けてカッターの刃で強くケガキます。あまり力を入れるとカッターの刃が一回でこぼれてしまうので、注意して下さい。
パーツが切り取れたら精密ヤスリを使って(魚地球の精密ヤスリは金属にも使える)、接点をきれいに整えて下さい。
私が金属パーツの接着に使っているのが、サラサラタイプの瞬間接着剤と写真の歯科用レジンの粉末「タフロン・リベース」を混ぜた物。このリベースは加える量により粘度が調整でき、パーツの合わせ目消し等にも使え、個人的にコレなくしては作業が出来ません。しかし硬化後はとてつもなく硬くなるので、金属ヤスリでなければまったく歯が立ちません。そのためモデラーの皆さんにも教えるのですが、皆さん「硬過ぎて加工できん」と残念ながらあまり評判は良くないですねぇ・・・。
最初に瞬間接着剤のみをカッターの刃先等を使い少量流し、そのあとに瞬間接着剤とリベースを不要なプラバンの上で混ぜて、エッチングの余白部分に厚く盛りあげガッチリ固定します。これで作業中にエッチングパーツがポロリと外れる事はまずないと思います。
エッチングパーツを接着したら上面パーツを船体に取り付けます。上面の他に前後の面もありますが、まずは上面を先に接着します。裏面の船体との接地面をよく見ると、凸凹状になっておりわずかにスキマが出きるようになっています。ここはワザとそのような形状になっていますので、間違って削ってしまわないようにご注意下さい。今回はそのスキマに瞬間接着剤を流してガッチリと固定しています。
続いて前後の斜面を取り付けますが、この2パーツは船体の上下を合わせた状態で取り付けます。この時上面パーツと搭乗ボックス土台の八角形のパーツ(WB-9と10)がピタリとスキマなく合うことを確認しておきます(もしこの時点でスキマが開いていたら、八角形の上面にプラバン等を接着し修正します)。
そうして前後のパーツを取り付けますが、組み方によって(特にスナップ式で組んだ場合)は前後のパーツがピタリと八角形の斜面と合わず、スキマが出きるかもしれません。その場合はパーツの下側を少し削ると(写真の赤い部分)土台の斜面にピタリと合いますので、写真を参考に組み立てて下さい。
次にこのキットの見所と言える、後部の機器類が集合しているゴチャメカ部分、当時スタッフ通称「マンダラ」を組み立てます。ここは組み込むパーツが多いのですが、難しい箇所もなく時間は掛かるもののスラスラと進みます。
エッチングパーツはまだ未接着ですが、このように完成しました。
ここでもまた矢印の部分を、0.4ミリのドリルを使い凹モールドの穴を深くします。なお、写真が見易いように矢印は左半分しか入れていませんが基本的には左右対称です。
残りの下半分です。数字の書いて無い矢印は凹部を0.4ミリのドリルで深くて、その他は記載されている直径のドリルで穴モールドを深くします。右端の0.6と書かれているのは、十字ホイールのセンター穴の直径の事です。
マンダラ制作の最後に放熱口のエッチングを取り付けます。ここもまずは下地に硬い2ミリプラ板等を敷いて、カッターで接点を2,3回なぞりパーツを切り離します。
切り離し、整形したエッチングパーツ。接点の部分は精密ヤスリ等できれいに整形しておかないと、パーツの裏側にピッタリ収まらないので注意して下さい。
まずは先に製作した搭乗ボックス上面のエッチングと同様に、カッターの刃先やエバーグリーン社の細切りプラ板等に瞬間接着剤を少しだけ付けて、裏側の前後左右を点付けし仮り止めします。
仮り止めが出来たら、いったん表面に戻しエッチングがエッジの端にピタリと合わさっているか確認します。もしプラパーツとの間にスキマが空いているようなら、裏側から浮いている部分の端を指で押してピタリと密着させます。
エッチングの全周囲が密着している事を確認したら、再び裏側に戻し、縁の周囲に瞬間接着剤とリベースを混ぜてカッターの刃先や細切りプラ板等で盛り付け、ガッチリと固定します。この時、間違って瞬間接着剤が周りに流れてもいいように、接着面は必ず下方向に向けて作業して下さい。
エッチングパーツ6枚がきれいに接着できたら、これでマンダラ部分も完成です。
続いて機体中心の円形銃座を製作しますが、ここは特に難しい箇所もないので、すぐに完成すると思います。クワッド・レーザー・キャノンの先端の銃口は、0.8ミリのドリルで深さを少しだけ掘り下げておきます。1ミリ以上削ると銃口の成型強度が無くなりますので、ご注意下さい。塗装の都合を考えて写真のようにパーツをバラしておいて最後に組み立てます。
最後にコクピットの円筒部分を作ります。コクピット内部は塗装後に取り付けますので、ここでは各パーツを分解できるようにしておきます。円筒の各部に細かいパーツを取り付けますが、なぜかU-21パーツの後ろ側にスキマが出来てしまいます。約0.2ミリ幅ほどなので、瞬間接着剤をスキマに流せば消えると思いますが、今回はエバーグリーン社の0.25ミリ厚プラ棒をUー21パーツの後面に貼って修正しました。
円頭部にUー21パーツをはめてから、精密ヤスリを軽く掛けて最終形状を整えます。なお、円筒部の反対側に付くエッチングパーツはこれだけ塗装してから、最後に取り付けます。
フィギュアを含めたコクピットと銃座内のパーツは、塗装してからデカールを貼り最後の工程で取り付けます。
取りあえずこれにて組み立て作業はひとまずは終了致しました。レーダー等、特に組み立て上難しい箇所がなければ説明を省略しています。なお今回の作例は〝パーツをすべて接着して組み立てる方式”に変更しての作業となりましたので、ハメ込みスナップ方式で組み立てる場合との違いが生じるかもしれませんのでご了承下さい。このあと船体上下をはずしてから、細かいパーツと共に塗装作業に入ります。
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