今回は高い人気を誇るモビルスーツ“百式”を題材に、同系統の機体であるデルタプラスとのミキシングビルド製作をMGで行っていきます。

百式は塗装を考慮し「MG百式+バリュートシステム」を使用します。キットは百式の特徴的なスタイルをしっかり再現し、
バリュートシステムを装着できるなど高いプレイバリューを誇ります。
また「MGデルタプラス」は抜群のプロポーションはもちろん、最新の変形機構でウェイブライダー形態もばっちり再現。
ウェイブライダー時の保持力も考慮された設計など、MGの進化を感じられるキットとなっています。

今回はMG百式をアップデートしていく方向で製作を進めていきます。
同系統の機体ということで、ミキシングもパーツの選択がしやすく好みのプロポーションで機体を作り上げることができます。
楽しんで製作していきましょう!
 仮組み・プロポーションの検討
今回使用するMG百式+バリュートシステムのパッケージです。 MG百式の仮組状態です。 パーツ分割で組むだけで設定の配色になり、とても作りやすくなっています。
こちらはMGデルタプラスのパッケージです。 MGデルタプラスの仮組状態です。 シャープな造形で、変形機構を有しながら独特なプロポーションもしっかり再現されています。
 ミキシングをするにあたり、各部位ごとにパーツを比べて見ていきます
頭部及び胸部比較画像。
百式の方が、若干サイズは大きくなります。
腰部比較画像。
デルタプラスのサイドアーマーは股間軸に接続するかたちになっています。
腕部比較画像。
デルタプラスの方が細身のつくりになっています。
脚部比較画像。
デルタプラスの脚部は百式に比べ1cm程長くなっています。
バインダー比較画像。
大きさはかなり異なります。接続方式もデルタプラスは胴体に直接接続するかたちになります。
武器比較画像。
 ここからミキシング案を検討していきます
百式の胴体にデルタプラスの頭部をつけた状態。こうして見るとかなり頭部が小ぶりに作られているのが分かります。 デルタプラスの胴体に百式のバックパックをつけた状態。背中への接続とパイプのクリアランスが課題になりそうです。  
全身を組み替えて検討していきましょう。
■プランA
百式の胴体にデルタプラスの四肢を使用。腕・脚共に接続方式を変更する必要があります。
■プランB
デルタプラスの胴体に百式の四肢を使用。ややマッシブなプロポーションになります。こちらも腕・脚共に接続方式を変更する必要があります。
■プランC
デルタプラスに百式の額・肩・腰前部の外装を使用した状態です。百式に寄ったイメージのデルタプラスができそうです。
■プランD
百式の胴体・上腕・腰部外装にデルタプラスの下腕・腰部・脚部を使用した状態です。百式の上腕とデルタプラスの下腕は接続軸の径が同じなので、そのままつけることができます。
■プランE
プランDから腰部を百式に変更したものです。改造の箇所は脚の接続方法を変更するのみでいけそうです。
今回はプランEを基本に製作を進めていくことにします。胴体と四肢のバランスを考慮し、腹部を延長することでバランスをとっていきたいと思います。
 製作のプランは固まったら、早速製作に入っていきましょう
MG百式の外装パーツはアンダーゲート処理がされています。ニッパーで切り出すときは、一度に切ろうとしないよう慎重に作業をしていきましょう。 デルタプラスのパーツも表面処理を行っていきます。まずはゲート部を少し残してランナーから切り出します。 次に400番位のペーパーでゲート部を削り、全体にペーパーをかけていきます。その後600・800・1000番と順番に細かい番手のペーパーをかけます。今回は金塗装を行うので、表面処理はしっかりやっておきましょう。
次は股間軸の変更作業です。百式の股間軸とデルタプラスの太腿部ポリキャップは、径が異なるのでそのままでは接続することができません。 今回は百式の軸部分をデルタプラスIランナー3パーツに変更することにします。 百式のボールジョイント部をカットし、デルタプラスのパーツの軸部分を図のようにカットし接続します。接続する際はピンバイスで穴をあけ、中に1mm真鍮線を通し強度を確保しておきます。
股間軸を変更した状態です。これで問題なく脚が接続できるようになりました。 次は腹部の延長作業を行っていきます。 まずは腰部と接続するボールジョイントを軸の根元から丁寧に切りはなします。
次に1mmプラ版を10×15mmの大きさに切り出し、3枚重ねて積層したブロックを作ります。ブロックの中心点に先ほど切りはなしたボールジョイントを真鍮線で補強し接続するかたちにします。
※この時点ではまた接着はしません。
延長したブロックを目立たなくするために、今回はMG Gガンダム(別売)の腰に使用するDランナー14パーツを使用しました。 Gガンダム Dランナー14パーツ下の2箇所の凸部を削り落とし、上下逆にして先ほど作った積層ブロックに被せます。
これで腹部延長作業の完了です。延長した部分も目立たなくなりました。 次に頭部の改修を行っていきます。
塗装を考慮された分割で、工作もしやすい構成になっています。今回はカメラ部をデュアルアイに変更し、ガンダム風のフェイスにしていきます。
デュアルアイに使用したのはMG Hi-νガンダムのAランナー25パーツです。そのままではつかないので、干渉する上下のはめこみ用ピンをカットする必要があります。
マスク部は若干上に上げる為、サイドのダクト部分を切りはなしておきます。 Hi-νガンダムのクリアパーツは百式頭頂部のBランナー9パーツの裏に塗装後に接着するかたちになります。また、切りはなしたマスク部はクリアパーツ下部に塗装後接着します。カメラ部を細くすることで、精悍な顔つきにすることができました。 次に百式のパーツにディティールを増やすため、スジ彫りを行います。バインダーのパーツは表面積が大きいので、スジ彫りもしやすく効果的なパーツになります。まずはスジ彫りを行うラインを引いていきましょう。
今回スジ彫りは0.2mmのタガネで行いました。ガイドとして文具店等で購入できるダイモテープを使用しています。 スジ彫りを行った状態です。作業する際は、最初に軽くあたりをつけておいた後、慎重に何回かに分けて彫っていくとよいでしょう。 同様に左右のパーツにもスジ彫りを行っていきます。
肩パーツにもスジ彫りを行っていきます。このように途中で角度が変わるラインのスジ彫りを行う際は、ラインの交点にピンバイス(今回は0.2mm刃)で軽くあたりをつけておくとスジ彫りの刃がそこで止まるので作業しやすくなります。 肩パーツにスジ彫りを行った状態です。 スジ彫りに加え、1mm・1.5mm幅の細切りプラ板でディティールを追加していきます。全体のバランスを見ながら作業する箇所を決めていきましょう。
一通り作業が終わった状態です。
プロポーションもスマートなものになっているのが分かります。
塗装前にサーフェイサーを吹き表面のチェックも行っておきます。
金塗装では下地の綺麗さが顕著に表れます。傷・ヒケ等があれば再度修正しておきましょう。
※サーフェイサーはラッカー系塗料です。ABS樹脂が割れる場合がありますので注意してください。
 下地処理が終わったら塗装に入っていきましょう
塗料はクレオス社製ガンダムカラー・Mr.カラーを使用していきます。今回エアブラシで金塗装を行うにあたり、塗料を数種類試し作品に合う色味を検討していきたいと思います。 金塗装を行うにあたり、金の反射率を高めるため下地に黒(光沢)を塗装しておきます。黒はGXカラーのウィノーブラックを使用しました。 まずはMr.カラースーパーメタリックシリーズからスーパーゴールドを吹いてみました。

1:スーパーゴールド
1’:スーパーゴールド(黒下地なし)

スーパーゴールドはやや赤金に近い色味になります。黒下地の有無で、金の深み・輝きがかなり異なってきます。
次に金塗装のポピュラーな手法として、シルバーの上からクリアーカラーを重ねて塗装する方法を試していきます。最初に下地としてスーパーファインシルバーを吹いておきます。 下地が乾いたら上からクリアーイエローを塗装していきます。クリアーカラーを塗装する際は、色ムラができないよう均一に吹くように注意しましょう。

2:スーパーファインシルバー→クリアーイエロー

鮮やかな色合いの金色になりました。他のクリアーカラーを調合することで、色味も調整することができます。
次はシルバーに色ノ源を混ぜ、金色に調色する方法です。色ノ源は色のにごりがないので、シルバーに混ぜることによって金色を作ることができます。塗装する前にしっかり攪拌して塗料を混ぜておきましょう。
スーパーファインシルバーに色ノ源イエロー・マゼンダを比率を変えて混ぜたものです。

3:スーパーファインシルバー60%+色ノ源イエロー40%
4:スーパーファインシルバー80%+色ノ源イエロー20%
5:スーパーファインシルバー60%+色ノ源イエロー30%+色ノ源マゼンダ10%

混ぜる比率によって真鍮のような色合いから赤金まで作ることができました。
金表現の一つとして、Mr.クリスタルカラーシリーズのトパーズゴールドを試してみたものです。

6:スーパーゴールド→トパーズゴールド
7:スーパーファインシルバー60%+色ノ源イエロー40%→トパーズゴールド

見る角度によって光彩が変わり、見た目にも面白い表現ができると思います。
金塗装の手法は色々なものがありますので、好みの色味を作れるのも楽しみの一つです。今回は外装に2種類の金塗装を行い、落ち着いた色味の作品を目指していきます。
まずは金塗装を行うパーツにウィノーブラックを塗装していきます。光沢のある表面になるように塗装していきましょう。 金(1)はスーパーゴールドに色ノ源イエローを少量混ぜ、少し黄色に振っていきます。希釈にはリターダーが含まれるレベリングうすめ液を使用し光沢が出るようにしましょう。 金(1)を塗装した状態です。塗装前に埃等付着していないかしっかりチェックしておきましょう。
バインダー部は金(1)を塗装後、継ぎ目消しを行います。バインダー下部のパーツをマスキングしてからはさみ、継ぎ目を消していきましょう。 金(2)はやや赤金に近い色味にして、金(1)との差異を出していきます。あまり色味の違いがきつくならないように注意し調色していきます。 金(2)を塗装した状態です。
金塗装が終わったら間接部等のパーツも塗装していきます。
※関節等のABS樹脂パーツは塗料をつけると割れるおそれがあります。ご注意ください。
関節部(2)(画像左上)
胸部等ブルー(画像右上)
ソール等レッド(画像左下)
腹部等グレー(画像右下)
カメラ部クリアパーツはシルバー→クリアーレッド+蛍光ピンク(少量)で塗装しました。百式のパーツにつける為、上下のはめ込み用ピンはカットしておきます。デュアルアイ部以外はエナメルのブラックで塗装しておきます。
【使用カラー】GSIクレオス Mr.カラーを使用
金(1)スーパーゴールド90%+色ノ源10%
金(2)スーパーファインシルバー60%+色ノ源イエロー30%+色ノ源マゼンダ10%
関節部(1)※ニュートラルグレー80%+MSグレー ジオン系20%
関節部(2)※ニュートラルグレー70%+MSグレー ジオン系20%+ガルグレー10%
胸部等ブルーブルー85%+MSブルー15%
ソール等レッドハーマンレッド75%+レッドブラウン15%+キアライエロー10%
腹部等グレージャーマングレー80%+ミッドナイトブルー20%
※関節等のABS樹脂パーツは塗料をつけると割れるおそれがあります。ご注意ください。
クリアパーツは百式頭頂部のBランナー9パーツの裏に接着します。切りはなしたマスク部はクリアパーツ下部に接着し、デュアルアイになった頭部の完成です。ダクト部はスーパーアイアンで塗装しました。 エアブラシ塗装が完了し、各パーツに墨入れを行っていきます。墨入れはグレー+ブラックで行います。 デカールはガンダムデカールMG百式用と、コーション類はHGUC RX-0ユニコーンガンダム用・MGユニコーンガンダムVer.ka用を使用しました。全身のバランスを見ながらじっくりデカールを貼っていきましょう。
全身にデカールを貼った状態です。デカールはマークセッターを使い、充分乾燥させましょう。 デカールを貼り終え、カメラ部をマスキングしてから今回は半光沢トップコートを吹きます。 トップコートを吹き、頭頂部のカメラ部にはキット付属のシールを使用します。作業が終わりいよいよ百式が完成です!
 完成編
まずは本体のみの状態です。同系機ということで、それぞれのパーツも違和感なくマッチしています。MG百式をスレンダーな体型にすることができました。
専用ビームライフルを装備。 クレイバズーカをバックパックにマウントしたフル装備状態です。
武器はビームライフル・クレイバズーカ・ビームライフルを製作。ライフル・バスーカはミッドナイトブルー60%+ジャーマングレー40%で塗装。
サーベルは根元にホワイトを吹き、発振状態を表現しました。
ビームライフル・クレイバズーカを装備。 デルタプラスの四肢は可変モデルということもあり、可動範囲も広いです。
アクションベースを使うことで、様々なアクションポーズをとることができます。
※アクションベース1 クリアは別売りです。
頭部マスク部の改修とデュアルアイにすることで、シャープな顔つきにすることができました。頭頂部カメラはキット付属のシールを使用しています。
 メガバズーカランチャー編
こちらはフルスクラッチで製作された1/100メガバズーカランチャーです。今回製作した百式と合わせてみました。
※メガバズーカランチャーはキットでは発売されておりません。
MG百式との対比です。前長は約30cmで、MGと比べてもものすごい存在感です。
百式と合わせ、迫力の発射状態を再現!グリップおよびステップが可動するので、今回製作した百式にもしっかり合います。
 製作後記
今回はMG百式とデルタプラスという同系統の機体でミキシング製作を行ってみました。
百式の胴体を延長し、デルタプラスの四肢を使うことでスマートな百式に仕上がりました。
発売から10年の歳月を経ているMG百式を、新しい技術で設計されたMGデルタプラスを使用することで現代風にアップデートできたのではと思います。

また、金色の塗装も様々なマテリアルから選択することで、自分好みの金色を作ることができます。
今回はスーパーゴールドベースと色の源で調色したものの2色で塗装してみました。
ひと手間加えることで、塗装する色にもオリジナリティを出すことができますので、是非色々な表現に挑戦してみてください。

今回フルスクラッチで製作されたメガバズーカランチャーも紹介させていただきました。
モビルスーツ以外のサブメカニクスを絡めることで、ガンプラの世界観も大きく広がります。

MGシリーズをはじめ、ガンプラは多くの機体がキット化されています。
今回のように好きな機体をアップグレードしたり、同系統の機体をミキシング製作したりと楽しみ方は様々です。
是非お好きなキットで自分だけの作品製作を楽しんでみてください!

※ABS樹脂への塗装は、破損する恐れがありますので、ご注意ください。

▼この作例には以下のキットを使用しています

MG 1/100 百式+バリュートシステム

MG 1/100 デルタプラス

MG 1/100 Gガンダム