根強い人気を誇る「ポケットの中の戦争」で登場したMS“ケンプファー”。
今回は1/144のHGUCキットと1/100のMGキットを使用し、ミキシングビルドでオリジナル作品を製作していきます。
どちらもケンプファーの特徴あるフォルムをとらえた好キットなので、それぞれの良さを活かす方向で製作を進めていきます。
また、今回ウェザリング(汚し塗装)の行程もご紹介していきます。

自分だけのオリジナル機体製作もできるのがガンプラの大きな魅力です。
楽しんで自分好みの作品を作っていきましょう!


 早速塗装に入っていきましょう。

 塗料はクレオス社製の「ガンダムカラー」「Mr.カラー」を使用していきます。
まずは本体色の検討から。

ガンダムカラー Zブルー系
ガンダムカラー Zブルー系85% + クールホワイト15%
ガンダムカラー Zブルー系80% + ガンダムカラー パープル20%

塗料は乾燥後・クリアー吹付後で色味が微妙に変わります。予め色味を見ておくことで、塗装も進めやすくなります。
汚し塗装もしていきますので、若干明るめに調色してあります。今回は③のやや紫にふった色で塗装をしていきましょう。


【使用カラー】
黄色(中央画像左上)キアライエロー80% + 黄橙色20%
上腕等(中央画像右上)ミッドナイトブルー
チェーンマイン(中央画像左下)クールホワイト60% + ミディアムブルー40%+レッド極少量
シュツルムファウスト(中央画像右下)ガンダムカラー MSグレージオン系80% + ダークグリーン20%
バズーカ(右画像左上)ミッドナイトブルー70% + MSグレージオン系30%
フレーム①(右画像右上)MSグレージオン系
フレーム②ラック等(右画像左下)MSグレージオン系80% + クールホワイト20%
ショットガン(右画像右下)フレーム②カラー80% + ミディアムブルー20%
※関節等のABS樹脂パーツは塗料をつけると割れるおそれがあります。ご注意ください。


 スパイク・アンテナのホワイト部分は予めクールホワイトで塗装した後マスキング処理して本体色を吹きます。乾燥後マスキングを剥がし、必要であればリタッチしていきます。
 チェーンマインの丸いモールドはマスキングで処理していきます。先に黄色を吹き、マスキング処理。今回、事務用品の丸いラベルシールを使用してみました。粘着力が強い場合は予め指などで弱めておきましょう。ラベルシールはサイズも色々あり、文具店などで購入できます。


 HGUCのバーニアパーツは外側と内側の色分けが必要になります。先に黄色を吹いて細切りのマスキングテープを内側に貼っていきます。外側は黒鉄色で塗装。必要であればリタッチしていきます。


 一通り塗装が完了しました。肩アーマー・腰パーツは接着しておきます。マーキングはガンダムデカールのRGシャア専用ザク用などを使用しました。デカールはマークセッターを使い、充分乾燥させましょう。



 汚し用の塗料を定着させる為、一旦ラッカーのつや消しクリアーを吹いて組み上げた状態です。色がつき完成がいよいよ近づいてきました。今回、汚し塗装の過程でスミ入れも行っていきます。武器類も同様につや消しクリアーを吹いておきます。


 ここからは汚しに入っていきます。
まずはウォッシングから。薄めたエナメル塗料を全体に筆で塗りつけ、軽く塗料を残すイメージでエナメル溶剤をつけた筆・綿棒で拭きとっていきます。これにより色味がややくすんだ雰囲気に変わってきました。また、丸モールド等の部分塗装も行っていきます。同様に武器類にもウォッシングを行っておきます。


 アクセントにリアルタッチマーカーを使用してみました。今回はブルー1・グレー2を使用。
まずパーツの境目やモールド部を軽く塗ります。次にぼかしペンで塗料をにじませながら広げ、まわりに馴染ませていきます。この時点ではやや色が強調されていますが、汚しを重ねることでアクセントにすることができます。


 エナメル塗料でも汚しを加えていきます。今回は黒・グレー・茶系を使います。パレット上で混色しながら、筆先で塗料を点付けしていきます。バーニア周りは黒・足まわりは茶系など、塗る箇所によって色味を変えていくとよいでしょう。
その後、塗料が完全に乾く前に溶剤で広げていきます。プラの接合部に溶剤が入り込むと割れの原因となるので、揮発性の高いペトロール(油彩用溶剤)を使い、塗料を広げていきます。溶剤を含んだ筆で、点付けした塗料を広げるように馴染ませていきます。筆は細~中のものやぼかし用筆も使い、タッチを変えてあります。奥まった箇所に塗料を動かす感覚で陰影もつけていきます。エナメル塗料はやり直しもできるので、大胆に筆を動かしていきましょう。


 上半身も同様に汚しを加えていきます。バルカン部にもスス汚れを表現してみました。
作業は一度に全身をやろうとせず、各部位で色味を見ながらじっくりと塗っていきましょう。


 次にアクリル絵具・油絵具も使ってみます。これらは画材屋さんで購入することができます。グレー・ベージュ・こげ茶の3色を使ってみましょう。
まずは油絵具のこげ茶(バーントアンバー)を使っていきます。左腕のフレーム部にオイル汚れ・雨垂れを描いてみました。ポイントとして、少量の絵具を面相筆で少しずつ色を乗せていくように意識して塗りましょう。こちらもペトロールで色を馴染ませていきます。フレーム部にこげ茶で汚しを加え、使い込まれた雰囲気が出てきました。


 次に脚部を中心に、アクリル絵具のベージュ(グレイッシュベージュ)で泥・砂埃での汚れを表現していきます。
こちらはアクリル溶剤で馴染ませたり、拭きとったりして調節していきます。下半身中心に塗っていきますが、強調しすぎるとわざとらしくなってしまうので注意しましょう。アクリル絵具のグレイ(グレイオブグレイ)はフレーム部のハイライトを中心に塗っていきました。こちらもアクリル溶剤で調節しながら塗っていきます。ポイントで上半身にも軽く色を乗せておきます。


 つや消しクリアーを吹き充分乾燥させた後、モノアイを付けてついに完成!
モノアイはラインストーンを使用し、アクセントとしました。様々な色味が重なり合い、重厚な雰囲気を出すことができました。


 まずは本体のみの状態。
MGのパーツを使用することになり、マッシブな力強いイメージになりました。バーニアの黄色部分もよいアクセントになっています。



 豊富な武装もケンプファーの魅力の一つ。バズーカもグリップ部の工作により保持できるようになりました。




 迫力のフル装備状態。MGのバズーカが重量感を醸し出しています。後姿もかっこいいですね。
可動も基本はHGUCの本体を使用しているので、様々なポージングができます。汚し塗装と相まって、重みのある骨太なケンプファーが出来上がりました。


 共に完成度の高いキットMG・HGUCケンプファーを使用してミキシングビルドで製作いたしました。切り・盛りといった大改造をしなくても、二つのキットの良い部分を活かすことで手軽にオリジナルの作品が完成しました。

また、今回は汚し塗装で重厚な仕上がりにしてみました。仕上げに関してはグロス・艶消し・汚し塗装など色々な技法がありますが、“これが正解”というものはありませんので好みに応じて選択してみてください。

ガンプラには多種多様なキット・パーツがありますので、手軽にミキシングで自分好みの作品を作り上げていくことができます。自分なりの楽しさをじっくり感じながら、ミキシングビルドに挑戦してみてはいかがでしょうか。キットの様々な可能性を感じ、ガンプラ製作を思う存分楽しんでください。

※ABS樹脂への塗装は、破損する恐れがありますので、ご注意ください。

▼この作例には以下のキットを使用しています

MG 1/100 ケンプファー

HGUC 1/144 ケンプファー