2013年9月21日に発売しました「1/72 VF-1Sバルキリー ロイ・フォッカー機」は、先に発売した「VF-1S/Aバルキリー 一条輝機」が再現していた劇場版「超時空要塞マクロス 愛・覚えていますか」の仕様と異なり、TV版に登場した機体をモデル化しています。

 劇場版との大きな違いはまずコクピット内装です。パイロットフィギュアはもちろんロイ・フォッカーをかたどったもので、操縦桿がサイドスティックからパイロット前方中央に変更し、これを握ったポーズとなりました。

 人型に変形する戦闘機であるバルキリーが衝撃的に世にデビューしたTV版マクロスにおいて、エース的パイロットが操る高度な戦闘ユニットとしてのバルキリーの魅力を最初に視聴者に伝えた機体でもあります。ここで、あらためて変形シークエンスを追って本キットが備える可変能力を紹介していきましょう。



撮影には「バンダイプラモデル アクションベース1」を使用しています。
■ファイターモード(飛行形態)

 ファイターモードはVF-1における基本の飛行形態です。熱核反応エンジンを搭載したVF-1は大気圏内ではプロペラントを必要とせず、従来航空機と比較にならない長大な航続能力を持っています。

 もともとVF-1は予測される異星系巨人種の侵攻に対抗するために計画された兵器であり、地上降下してくる敵戦闘ユニットを迎撃する必要から、格闘用兵器でもある自らを遠距離へ展開できる飛行能力を持っているのです。

■尾部ブロックの変形

 3段階の変形はまずファイターからガウォークへの移行を解説します。第1段階ではガウォーク時の推進エンジンを内蔵する尾部ブロックの折りたたみを行います。ロイ・フォッカー機ではブロックが元の位置へ戻りにくいように背面ブロックの保持をより良くしました

 ちなみにファイターからバトロイドへの直接変形も可能です。
■脚部の変形開始

 ガウォーク、バトロイド時に脚部となるエンジンナセル部分を下方に降ろします。モモと膝部分が伸張し、逆関節となって前方へ脚を振り下ろすことが可能です。

 膝関節の前アーマーは大きく前方に倒すことができ、逆関節の作動に干渉しません。メインノズルが展開し、接地のための足となります。

■腕部の展開

 胴体下部に収納されていた両腕は、左右にそれぞれ分かれて展開。前腕内部に収納されている手首は、開いたパネルから回転しつつ現れます。

■ガンポッドの保持

 ファイターモードで腕部の中央にジョイントパーツで懸架されていたガンポッドにグリップとスリングを取り付け、ガウォークの手に保持します。ガンポッドはガトリング方式の実体弾兵器であり、VF-1の主武装のひとつ。なお手首ユニットはTV版の意匠を再現、ロイ・フォッカー機ではガンポッドの保持をより良くしました

■ガウォークモード

 ガウォークモードはホバリング能力を備え、攻撃ヘリ等のように低速・低高度でのアプローチと精密対地攻撃を可能とします。この“第3の形態”は、高速のファイターモード、格闘戦用のバトロイドモードと併せてVF-1に幅広い任務適合性を与えることとなり、戦闘ユニットとしてのVF-1の汎用性を広げました。

 VF-1によってメカニズムと戦術を確立されたガウォークモードは、VF-1以降の可変戦闘機にも受け継がれています。

■主翼の格納

 ガウォークモードからバトロイドモードへの変形は、主翼の格納から開始です。主翼はファイターでの最大後退角よりもさらに後方へ退がり、ほぼ真後ろへ向けられます。

 本キットシリーズで初めて採用された新解釈の機構が、主翼の格納システムです。これにより可動範囲への干渉を抑えるほか、人型のシルエットを整えるという効果があります。

 格闘戦形態のバトロイドにとって主翼はデッドウェイトでしかありませんが、背後の防弾板としての機能は期待できるでしょう。なお、翼下の武装を懸架している場合は展開したまま戦闘を続行可能です。

■キャノピーカバーの展開

 バトロイド時に胸部正面に位置することになるコクピットは、胸部に内臓されたカバーがスライドしてこれを覆います。むろん防御のためのカバーであり直接視界は完全に塞がれますが、劇中ではパイロットはバトロイド用のコクピットでモニター越しに外界を認識し戦闘を行っていました。

■脚部の移動~股関節の固定

 エアインテークから続くエンジンナセル部分、いわゆる脚部は機体とは完全に独立したユニットとなっており、胴体とはファイターモードでいう境界層制御用のスプリッターベーンによって接続されています。このベーンは脚部移動用パネルを兼ねており、シリンダーによって機首方向へと脚部ごと移動します。

 移動した脚部はエアインテーク側から関節軸が伸び、機首の連結部へと固定され、股関節となります。ロイ・フォッカー機では、股関節軸の形状変更を行い、バトロイド形態での保持をより良くし、ポージングの際の安定感が増しました
■バトロイド時の脚部変形

 ガウォークのために伸張されていたモモ、膝関節を真っ直ぐに戻します。この伸張のメカニズムには膝裏に固定用のパネルが設けられているため、伸張時や収納時のどちらでもしっかりと状態を保持することが可能です。

■胴体の固定

 バトロイド変形時に胴体部は移動し折れ曲がり、その際頭部を中央の空隙をくぐらせて上部へ出します。ロイ・フォッカー機では、脚部の移動を終えたパネルを胴体背部内側に固定できる機構が採用されており、胴体の固定を行います

 さらに別パーツとして用意されたジョイントを背面内部中央に組み込み、機首部分を固定できるようにしています。この部分もロイ・フォッカー機で向上した部分で、各パーツの位置関係もしっかりと決められるようになり、背面内部の固定をより良くしました。

 本商品では肩上部が傾斜する形で胴体を固定するのが正しい形となります。ロイ・フォッカー機ではこの位置決めが、より分かりやすく行えるようになりました。


■バトロイドモード

 バトロイドは異星系巨人種と直接交戦(=格闘戦)を想定したモードです。そのサイズが異星系巨人種と同等とされているのは、敵艦への突入作戦を敢行し、艦内における白兵戦を行えるよう統合軍海兵隊から要求仕様が出されたからという設定です。

 TV版第3話では数々の印象的なバトロイド活躍シーンを見ることができます。主人公・一条輝とリン・ミンメイを救助したロイ・フォッカーのVF-1は、まるで人間のように肩にガンポッドをかけて歩行しました。

 また、劇中では2人を乗せたままのVF-1Dのコクピットブロックを腕部に装着した状態で戦闘も行いました。

 股関節軸の向上の結果、ロイ・フォッカー機はよりポージングの安定度が高まっています
©1982 ビックウエスト