まずは、非常に組みやすいという印象を受けました。
内部フレームの素材がABS素材から新素材にかわったことで、安定した関節の保持力を確保し、可動した際に素材同士が擦れ合い粉が出てしまうことが一切無くなりました。
また、柔軟な素材のためゲート処理が格段にしやすくなっています。ABS素材の場合、ニッパーで切った切断面をヤスリで削るとかなりヤスリ傷が目立ってしまうのに対し、この新素材ではニッパーの後すら残らないくらいにすんなりゲート処理が行え、ストレス無く制作することができました。
また、パーツ割が工夫されている感覚を受けました。立体パズルのようにパーツ同士が組み合わさることで複雑な可動を実現しています。特に指の可動は圧巻です。
 今回のνガンダムはサイコフレームの発動を再現するため、装甲をパージ・スライドすることができます。装甲を展開させるという点においても、過去に発売されたMGユニコーンガンダムと比べ安定感が格段に上がっていることを感じました。ユニコーンの場合は、装甲パーツのみをスライドさせ内部のサイコフレームを露出させる構造だったのに対し、このνガンダムでは内部フレームも一緒にスライドさせることで展開をスムーズに行えるようになっています。
 全体的なデザインはRGに寄せてきているように感じました。
白い装甲パーツにグレーのパーツをアクセントにした構成になっているため、素組みでも完成度の高い作品が仕上がります。
 さて、今回、私がこのνガンダムを作るにあたり、まず胸の黄色いダクトパーツの改造を行いました。キットでは内部のフィンも一つのパーツでの表現となっているため、全体のギミックと比較すると、やや単調な印象に感じました。まずピンバイスとエッチングソーで内部をくりぬき、そのスペースにビルダーズパーツHDのMSスラスター01を組み込みました。目立つ部分の改修を行うことで、大きな情報量の追加を行うことができたと思います。
また各所、肩や膝、腰部に細かいプラ板を張り付けレッドで塗装を行うことによりアクセントを追加しました。アクセントを多くすることでパーツ一つ一つに引き締まった印象を持たせることができます。
全体的な塗装はグレーを多用し、落ち着いた印象を持たせました。パーツ割がパネルラインごとになっているため、マスキングはほぼ行わずに情報量の多い塗装表現ができました。
このように一部のパーツのみ色身を変えたり、違う色で塗装するだけでオリジナルの表現ができます。
 制作を終えて改めて思うことは、説明書を見れば誰でも完成度の高い作品が作れるほどガンプラどんどん進化していく中で、作り手はどう作るのかを考えさせられるキットだということです。
このキットに限らず、今後も自分のオリジナリティーを追求した作品制作を目指していきたいと思います。
ありがとうございました。
山口達彦